国家統計局がこのほど発表した統計データによると、中国で2009年に生まれた新生児は、女児100人に対して男児119.45人と、前年比1.11人減少した。専門家によると、これは最近数年で初めての減少傾向だが、新生児の男女比アンバランス状態は引き続き深刻な問題で、決して楽観視は許されないという。中国社会科学院が発表した2010年「社会青書」では、2020年には、結婚適齢期に達しても相手が見つからず結婚できない男性は2400万人に達すると予測されている。「年の差カップル」婚や「姉さん女房」婚など、通常パターンとは違った結婚もますます増える見通しだ。新生児の男女比アンバランスは、中国の人口構造において、最も際立った問題の一つとなっている。
自然な情況のもとでの新生児の男女比は、100対103?107という。つまり女児100人に対して男児が103人から107人という割合だ。男児の死亡率が女児より高いことから、男女の割合は、結婚適齢期にはほぼ同じになる。
世界の新生児男女比は、戦争中以外、ほぼバランスが保たれてきた。しかし、中国では、1980年代以降約30年間で、新生児の男女比アンバランスはますます大きくなった。
中国人民大学社会人口学院の鋤[振武院長は、新生児の男女比アンバランスが深刻化すれば、「結婚難」現象が起こるだけではなく、中国における人口生態系の安全にも危害が及ぶと憂慮する。適齢期の男性、特に農村などの経済未発達地域に住む男性は、結婚相手を見つけることが非常に困難になり、婚姻と家庭の安定に影響が及び、売買婚などの問題に発展する恐れがある。余った男性には妻も後継ぎもなく、高齢化問題も重なり、複雑で苦労の多い老後を送る独身男性が増加する恐れがある。今後の社会階層構造、消費構造、組織構造がいっそう男性主体のものとなり、男女間の不調和問題は日を追って際立つ可能性が高い。
鋤[院長によると、男子優遇の風潮を持つ国家や地区で出生率が下がると、新生児の男女比アンバランスが発生することは、ごく普遍的な現象という。中国の男女比アンバランスは、男子が家を継ぎ、女子は他家に嫁に行くという社会慣習・制度によってもたらされた。その根本的な原因は、社会保障制度の不備にあり、直接的な原因は、超音波検査による胎児性別診断が普及したことにある。
「人民網日本語版」2010年4月1日