改革を加速化し、分配の不公平を根本からなくす
公平な所得分配は調和の取れた社会を計るものだ。一部の学者は、中国は現在、第一次所得分配における不公平な問題の解決に取り組んでいるが、再分配政策の改善がさらに差し迫ったものになっていると話す。
収入分配の不公平を根本からなくせば、社会保障、起業、職業選択、就職などのチャンスを平等に与えるなど、一連の権利や利益の再調整が必然的にされる。これは財政体制、社会保障体制、就職制度、教育体制、医療衛生体制など多くの改革にも関わってくる。経済・政治体制の改革を絶えず進めてこそ、所得分配の不公平という問題を根本から解決することができる。
近年、上海や広州、重慶などの大都市は戸籍制度改革の試行を進めている。今年4月28日に開かれた国務院常務会議では、土地管理や戸籍制度改革を進め、都市部と農村部の統一された建設用地市場と人的資源市場などを構築することを今年の重点の一つとすることが決定した。これらの措置は都市部と農村部の協調的な発展を制約する体制面の障害をなくし、都市部と農村部の住民の所得差を縮める上で非常に重要である。
国務院は5月13日、基幹産業やインフラ、市政公共事業、政策性住宅建設、社会事業、金融サービスなどの分野への民間資本の参入を奨励、推進する意見を打ち出した。国家発展改革委員会マクロ経済研究院社会発展研究所の楊宜勇所長は、「独占業界の高所得を減らすには、独占をなくす必要がある。国の政策が徐々に整っており、今後に期待できる。競争メカニズムを引き入れるだけでなく、国有企業の配当メカニズムを構築し、超過利潤を国や国民のために使用する必要がある」と話す。
企業の経営陣の「高年収」を管理することも所得差を縮めるのに重要となる。財政部が出した『金融類国有企業及び国有持ち株会社の企業責任者報酬管理弁法』の意見募集稿では、国有金融企業の責任者の税引き前の年収を最高280万元とすることが規定された。年収制限の規則が打ち出されてから、中国アルミや武鋼集団などの大手国有企業の経営陣は先頭に立って減給を実施した。中国銀行業監督管理委員会、中国保険業監督管理委員会などの管理部門も後に続き、金融企業の経営陣に自ら管理を行うよう要求した。
中国社会科学院金融所の研究員である易憲容氏は、経営陣の高収入問題は制度の不備がもとで、政府の監督管理を強化し、企業の管理構造と内部の賃金制度をより改善する必要があり、道徳的な面を制限するだけではいけないと考える。そのほか、経営陣の職務上の消費などは驚くべき額で、かつ不透明であり、世間から非難されている。関係部門は監督管理を強化し、不透明な収入と消費の抜け穴をふさぐ必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年5月25日