朝7時には起床し、囲碁大会への参加を待っていた5歳になる劉洋くん。大会の時間が近づくと、突然大声で泣き出した。先生や両親の説得にも応ずることなく、1局目の終了まで40分もの間、それが続いた。
「一人っ子第二世代」である劉洋くんに家族は惜しみない愛情を注いでいる。おじいちゃん、おばあちゃんは洋くんが毎日寝坊しないよう起すのでさえ忍びない。当日の2局目には結局参加した洋くん。大会規定では先生、両親の付き添いはいけないはずが、特例として認められた。
周りからの寵愛を一身に受ける「一人っ子第二世代」。「第一世代」と比較して、物質的にも外的環境にも恵まれている。しかしながら社会の転換期にいる第二世代の子どもたちは、両親たちの頃よりもさらに複雑な社会環境に直面しており、外界から受けるプレッシャーは増している。
成長過程にある第二世代の子どもたち。社会転換期の「愛児」なのか、それとも「孤児」なのか?
中国では1970年代に計画出産政策がスタート、夫婦一組に子ども一人の「一人っ子第一世代」の出現し始めた。30年近く経った今、「第一世代」は続々と而立の年(30歳)になり、結婚・出産を経験している。彼らの子女の多くは一人っ子で、「一人っ子第二世代(独二代)」と呼ばれている。
第一世代が冷淡、わがまま、協力意識に乏しいなどと多くの問題を指摘されるなか、第二世代がより深刻な社会問題とならないか、国民は深く関心を寄せている。
第二世代の家庭はほとんどが祖父母2組・両親と本人の「6+1」家族。両親は忙しく、第二世代の子どもたちは祖父母に育てられるため、祖父母の溺愛により一部の第二世代は好ましくない習慣が身につく。さらに1家庭に子ども1人であるため、家中のすべての物は自分の物と思い、分け合うという気持ちが生まれず、子どものわがままと自己中心の元となっている。
しかしながら第二世代は第一世代よりもさらに孤独でもある。一人っ子第一世代には兄弟がいなかった。第二世代になると、状況はより深刻だ。兄弟関係のみならず、おじさん・おばさんといった親戚関係も希薄になる。
第一世代に比べ、第二世代はより開放的で自由な環境を享受している。個人の行為は両親や先生のより深い尊重を受け、物事を強制されることはない。広西チワン族自治区教育庁幼稚園の覃珂・教諭は、第二世代は感情表現に長けており、自己を強く主張し、独立性が強く、自分の考えを持っていると語る。
専門家は、社会転換期の突出した問題は、「一人っ子第一世代」あるいは「第二世代」で片付けられる問題ではないと指摘する。第一世代であろうが第二世代だろうが、彼ら・彼女たちに見られる特徴は、ひとつの段階、ひとつの群衆にあらわれる特徴にすぎないのだ。
「人民網日本語版」2010年7月7日