死は、従来、人々には忌み嫌われているものであるが、5日、香港の学生たちが棺のなかに横たわり、自ら死の体験をし、それにより生命の真の意義を理解しようという試みが行われた。香港の新聞「大公報」が伝えた。
キリスト教のセントヤコブ福祉グループで、6日に、「われ生きて死を悟る」という生命教育が行われた。これは、このところ若者の間に生命軽視、薬物濫用、 援助交際、自殺等の問題が多発していることを憂慮したもの。聖公会林護記念中学校では33人の生徒の中で4人が参加したこの活動では、本人たちに生命のことを考えさせるだけでなく、学校側もこの活動を新たな高校の教育課程の知識科の独自テーマ研究に組み入れることにしている。
6日のプログラムは、学生たちに自ら死の体験をさせるもので、午前は環文武廟に参拝して「長生禄位」の碑を参観し、棺桶屋、歌連臣角火葬場、将軍澳墓地と回り、その後、骨灰を撒く儀式に参列し、骨灰記念ガーデンを参観した。午後は、方舟生命教育館へ行き、それぞれ学生が棺の中に入ってみることや遺書をしたためることを体験した。
学生の一人、呉子鋒さんは、4年前からキリスト教徒になり、死は人生の 1段階に過ぎないもので、死後も生き続けられるのだから、死ぬことを恐れていないとしている。呉さんは棺の中に横たわってみて、考え、反省してみた。その後「再生」した彼が言うには、棺が覆われる前には何も特別な感覚はなかった。しかし、棺の蓋が閉められると、一種不思議な孤独感に襲われた。棺の中で世間と隔絶されると、自分には多くのまだやってないことが思い浮かんできたという。この体験をして、呉さんは、生命をもっと大事にしようと思うとともに、家族との意思疎通や一緒に過ごす時間を重視しようと考えるようになったとのことだ。
「人民網日本語版」2010年7月7日