さほどの価値がないと思われる清代・乾隆帝の色鮮やかな透かし彫り磁器壺がこのほど5160万ポンド(約68億円)の破格で英国で落札された。報道によれば、落札したのは北京在住の中国人で、他の落札者もほとんどが中国人だったという。ウェブサイト「中国新聞網」が伝えた。
中国芸術品が今回、世界のオークションで最高額を記録したことに対し、中国当局・市民の反応と海外メディアの態度はまったく相反している。
英メディアは論評で「中国富豪の実力が高まるに伴い、中国人は今、失われた文化遺産を買い戻すことにお金を惜しまない。その背後には『磁器愛国主義』がある。これらの文物を取り戻すことで中国人は自らの身分と文化を重んじようとしている」と伝えた。英メディアは「盗人から本来自分達に帰属する物を買い戻すことはある種真の文明だ」という「おだて文句」まで書き足した。
これらの報道に、中国のネットユーザーは懐疑的だ。西側は中国人のいわゆる「愛国主義」を利用しているだけだと。ある市民は「強奪された文物を金銭で買い戻すことは『二度目の略奪』に違いないが、英国人は自らの恥ずべき行為をしっかりと心に刻むべきだ。盗人の手から『真の文明』を買い戻すというのは、勝手な理屈にすぎない」と認識する。
事情に詳しい匿名のある中国人収集家は記者に対し、今回中国人同士で価格をつり上げたという報道は疑わしいと明かす。まず「bainbridge」というオークション会社名は権威はなく、収集品・収集家の背景ははっきりしていない。最近のオークション界での「やらせ」現象は珍しくなく、一部のサクラがオークションを破格につり上げ、実際には相応の対価は支払わず、数年後に同じ文物が再度オークションに掛けられ、落札者が罠にはまるという。
国家文物局の宋新潮・副局長は取材に対し「不法に国外に流出した中国文物の購入に賛成はしない。法律および外交手段を通じて主張し、国際社会の不法流出文物返還問題の法的枠組と原則に基づき、国際協力を得て追跡する」と明言した。
「人民網日本語版」2010年11月17日