「ネット水軍」。これが最近、中国のメディアを沸騰させたキーワードの一つである。
中国ではBBSやサイトで「書き込み」することは別名「水をかける」とも言われているため、同一人物が複数の登録名を使って、潜り込んで書き込みをする人のことは「ネット水軍」と称されている。報酬目的で、掲示板やサイト上にスレッドを立てたり、大量書き込みをすることで特定商品やニュースに関する話題を作り、世論を盛り上げる「サクラ」的役割を果たすことが彼らの特徴である。
昨年7月、「賈君鵬、お母さんが『ご飯だから帰ってきて』と探しているよ」というたった12文字の書き込みが発表されてから、わずか6時間で複数の大手サイトの書き込み欄でトップにプッシュされ、二日後のフォローが30万以上、クリック数が760万を超えたという驚異的な広がりぶりを見せた。最近になって、「賈君鵬」事件はあるゲームサイトが話題づくりのため、ネット水軍を雇って仕掛けた宣伝活動で、ブームを成功させたネットPR会社には6桁の報酬が振り込まれたことが明らかになった。
CCTV(中国中央テレビ)は5日、19:00からのニュース番組「新聞聯播」で「ネット水軍」の誕生とその裏の力をすっぱ抜きた。番組では、警察の調査結果の紹介として、いま、ネット上の人気書き込みの50%以上が人為的操作で作り出されたもので、その背後に「ネットPR会社」が関与しているということである。
なお、CCTVの報道に先立ち、『人民日報』は6月末に記者団を派遣して現場での調査にあたらせ、ネット水軍の実態を暴く記事を3回にわたって掲載した。また、新華社通信は国内の乳製品メーカー「蒙牛」社が「水軍」を雇って、競合会社を誣告した事件や、不都合な書き込みを削除することで年間70万元の収入を手にした某サイトのネット編集者の存在などをすっぱ抜きた。
ネット上の本当の民意と操作された民意の見分け、また、ネット水軍及びその背後にあるネットPR会社に対する管理などが求められていると中国のメディアが呼びかけている。
「中国国際放送局 日本語部」より2010年12月6日