独テレビ局・第2ドイツテレビが制作したドキュメンタリー番組「中国辺境」がドイツで好評を博している。同局は以前、中国人ビジネスマンをからかう番組を捏造するなどして中国人の怒りを買ったが、今回放送したドキュメンタリー番組はこれまでの「報道姿勢」を大きく変えるもので、中国の辺境の風景や人々の暮らしをありのままに映し出している。
「中国辺境」は同局の中国駐在記者率いる撮影チームが6カ月かけて、2万キロもの距離を行き、中国の最も辺境の地を取材・撮影したもの。住民が外国人を見るのはこれが初めてという地域も多かったという。
番組は2部に分かれ、第1部のテーマは「トラ、密輸者、要塞の島」。番組の冒頭ではこのドキュメンタリーを撮影した理由について、「この国は世界を変えた。しかし私たちはこの国についてほとんど知らない」と語り、西洋の人々に「見知らぬ中国」を紹介したいとしている。
第1部では4つの物語を紹介。1つ目は、中ロ国境の地に生きる中国人漁民の不遇な暮らし。毎日太陽が昇る前にウスリー川で漁をする。太陽が昇る前であれば、ロシアの兵士は酔っぱらってまだ寝ているため、安全だからだ。もしロシアの兵士に見つかったら大変なことになる。
2つ目は、生息数がわずか20頭前後になってしまった中国の東北トラの物語。これは森林伐採や密猟など中国の経済成長の代償であり、中国はこの希少動物の保護に力を入れ始めている。3つ目は、中国の辺境の人々の暮らしを通して朝鮮を見る。4つ目は、中国の西南辺境と台湾に注目。金門を取材した場面では、「金門は世界で最も厳重に軍事的防衛措置がとられている島である。過去の20年間、台海両岸は宣伝戦を繰り広げてきた。しかし今日、双方は親しくなり、両岸は一つの国だと称している」と解説している。
第2部は「砂漠、パスポート、野生の騎手」と題し、中国の西部と内蒙古の辺境地域の卸売市場や民族色の濃い服装、飲食、結婚式、世界で最も標高が高い国境、砂丘などを紹介する。ここでは、「辺境は中国の近代化プロセスの一部になりつつあり、最も辺境の地でさえも、中国の巨大な建設計画を感じることができる」と指摘。中国の辺境に暮らす人々は、「未来に期待を抱いている」と語る。
同局によれば、この番組の視聴者は100万人以上にのぼり、視聴率は10%程度に達した。独紙ハンブルガー・アーベントブラットなども、このドキュメンタリー映像の多くは、現地の幹部の反感を買わないようにと「秘密裏に撮影されたもの」であるが、中国の外国人記者への開放度は少しずつ高まっていると報じている。ある視聴者は、「中国駐在のドイツ人記者が背広を脱いで辺境に深く入って取材した報道はとても新鮮で、『中国辺境のありのままの姿』を見ることができた」と話す。ドキュメンタリー番組の解説部分の「政治色」も薄くなった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月10日