支援省市の先進的経験に学ぶ
説明によれば、現在四川省内の「512」地震被災地の水利施設は「512」地震前のレベルにほぼ達しており、中には地震前のレベル以上になっているところもある。1950~60年代に建設された地震損壊ダムは地震が発生するまでの数年間補修もメンテナンスも行われていないところが多かったが、今回の震災後再建で大きく改善された。
科学的論証を経て、紫坪鋪ダムは応急処置と補強が行われ、元の設計通りの機能を全面回復した(石剛撮影)
綿竹市漢旺鎮の官宋硼堰取水場の管理処に30年余り勤める管理員の夏勁松氏が記者に語ったところでは、すでに使用が始まった官宋硼堰取水場の水利再建プロジェクトは江蘇省が支援した。この取水場では、綿遠河から取水し、灌漑を主な用途とし、さらに灌漑区住民や家畜への給水、工業給水、発電などの用途も兼ねている。以前の取水場は「512」汶川地震の影響を受けて大きな損害を受け、専門家の論証により廃棄された。夏勁松氏は、「江蘇省は水利大省だけあって、出来上がったものはやはり違う!外観から設計理念、導入技術に至るまで非常に近代的だ」と言う。
朱副庁長は、対口支援を担った省市には参考になり学ぶべきところがたくさんあると考えている。例えば、多くの省市は水利工事計画と設計理念の面で世界の先進レベルに達している。 支援省市の多くが都市の標準にしたがって被災地の飲用水工事建設を行った。これは被災地が都市と農村の給水一体化を推進する上でプラスになった。また、各地の支援担当者の実務的な働きぶりも四川の水利従事者が学ぶ価値のあるものだと朱副庁長は言う。
もう1つの都江堰灌漑区を作り上げる
『汶川地震四川省水利震災後再建計画』の目標達成後、震災後再建成果の余勢をかって、四川省は2009年10月に「もう1つの都江堰灌漑区を作り上げる」という目標を打ち出し、四川省の「十二五」(第12次五カ年)発展計画に組み入れた。
2000年余り前に李冰親子によって建設された都江堰は今もなお天府の大地で1020万畝(1畝=6.7アール)の肥沃な田畑を潤している。「もう1つの都江堰灌漑区を作り上げる」というのは現在の都江堰灌漑区をそのままなぞるようにどこかに灌漑区をもう1つ作るのではなく、2009年~2016年の間に省全域で一連の基幹水利工事建設を実施し、新たに1069万畝の有効灌漑面積を増やすというもので、これは都江堰灌漑区をもう1つ作ることに相当する。
朱副庁長は次のように語っている。「四川は水利大省だが、水利強省ではない。今年の中央一号文書『水利改革発展の加速に関する決定』が出されてから、四川省も水利振興に関する一号文書を発した。「十二五」期間中に、基幹水利工事と灌漑区の付帯施設整備を多数実施する計画だ。これらの基幹水利建設は、四川の水利が立ち遅れているという局面を効果的に変え、四川経済社会の発展に重要な役割を果たすだろう」。
「北京週報日本語版」より 2011年5月11日