林国本
今回の全仏オープン・プロ女子テニス大会で中国の李娜選手(29)がイタリア選手を破り、アジア人として初めてこの大会で一位を獲得した。この試合は衛星テレビを通じて全中国に中継放送され、全国のテニスファンをはじめ大勢の人たちを興奮させた。
これまでプロ女子テニス種目はほとんど欧米選手の天下に等しい状態にあったが、その後、日本の伊達選手らが現れ、アジア人の存在を示すことになったが、中国では中国女子選手がトップに入ることは想像さえされていなかった。李娜選手自身が一位獲得後、マスコミの取材に対して語ったようにまさに「夢が現実となった」のである。
李娜選手は中国湖北省の出身で、湖北省はスポーツ事業に力を入れている省であるが、ここ数年、数多くの女子テニス選手を輩出している。とにかく、省内の小さな京山県だけでも70面のテニス・コートがあるくらい、テニスが盛んな省なので、李娜さんはまさに、天の時、地の利、人の和の好条件に恵まれる中で育ってきた逸材であると言えよう。李娜さんの今日があるのは、少年スポーツ学校の無名のコーチの指導のおかげであろう。また、プロ化の道を進ませることを決断した中国スポーツ界の人たちの英断とも切り離せない。中国のスポーツ界はさらなる改革を考えているらしい。