「一目惚れで結婚して、けんかでかっとなって離婚した」----。中国の大学4年生張宇さんは8歳年上の妻と「裸婚」(家なし、車なし、お金なしで結婚すること)し、その後わずか10カ月で別居状態になった。張さんは関係の破綻を理由に、北京市密雲区人民法院判に離婚を申し立て、このほど離婚が認められた。中国紙「法制日報」が報じた。
「夫婦が結婚届けを出してからわずか1カ月と10日で協議離婚したケースを扱ったことがある」「『スピード離婚』が増えていることから、人々は結婚関係を長期間持続させることができるのか疑心暗鬼になっている」と北京市海淀区人民法院民一庭の侯鏡裁判官は指摘。 ▽社会全体の問題を映し出す離婚問題
最近発表された全国民政事業統計のデータによると、中国では今年の第一四半期(1-3月)に、46万5千組のカップルが離婚届けを出した。1日当たり5千以上の家庭が崩壊している計算になる。中国の離婚率は7年連続で上昇している。
この問題に関して、10年近く婚姻や家庭などの裁判を扱っている、浙江省安吉県人民法院民一庭の章一紅副庭長は「手をつないで裁判所に来て、離婚訴訟を申請し、離婚成立後、うれしそうに裁判所から去っていくカップルもいる」など今の若者の多くが安易に離婚を決めるため、若い人が結婚に対してどんな意識を持っているのかますます理解に苦しむと嘆く。
侯裁判官は「離婚率が高いのは80年代の一人っ子世代で、愛を受けることしか知らず、相手に愛を示す方法を知らない世代。彼らは結婚することには責任が伴うという意識が極めて低い」と分析。
侯裁判官が扱ったことのある案件の中には、夫がゲームに、妻が服にお金を浪費することを不満に思ったカップルが離婚するというケースもあったといい、「今の若者は衝動的に結婚していることは明白。結婚とは夫婦が互いに助け支え合って成り立つものという意識に欠け、ままごとのように考えている」と指摘。
「現在扱い易い問題は離婚に関する案件だが、扱いにくい問題も離婚に関する案件。なぜなら法律的問題以外に、社会的問題も多く関わっているため」と章副庭長。