林国本
このところ、スペインから中国男子サッカーチームの強化のため招請したカマーチョ監督を始めアシスタント役の2人を含めての3人の動きが北京の新聞のスポーツ面をにぎわしている。もちろん、外国から監督を呼び寄せただけで、中国の男子サッカーが一朝一夕にして変身するわけではないが、この一件から、このところ不振気味の中国サッカーに力を入れようとする中国スポーツ主管当局の意欲がうかがわれる。
中国スポーツ界は新中国建国以来の「スポーツを発展させて国民の健康水準を高めよう」、「大衆スポーツの発展に力を入れよう」というキャッチフレーズのもとで、2008年の北京オリンピックでは金メダル総数でトップとなり、その後の広州アジア大会で、非オリンピック種目のメダルを差し引いても、金メダル総数でトップとなった。要するに、もはやスポーツ後進国ではなくなったのである。
しかし、中国スポーツ主管当局の一部の責任者は、この成果を認めながらも、中国スポーツ界のアンバランスを指摘している。
とくに世界的に人気度の高い、中国にも多くのファンのいるサッカー、バスケットは二流にひとしいという厳しい見方をしている人もいる。アジア大会での日本チームとの対戦でも、ナショナル・チームでない相手に負けて、少数のスポーツ記者を「これじゃ、ワンランクの差のあるチーム同士の試合」だと嘆かせたくらいである。中国サッカーチームは、攻撃意識の欠如、パスワークの拙さ、ゴール前での決定力の欠如などの弱みをさらけ出していた。中国のサッカーファンたちとは、金メダル総数でトップに立つことは喜ぶべきだが、主だったボールゲームでの弱体ぶりにはいらだちを覚えていた。そこへ飛び込んできたのが、「なでしこジャパン」日本女子サッカーチームの快勝のニュースだ。
中国スポーツ主管当局は、スポーツ大国からスポーツ強国へというキャッチフレーズを打ち出しているが、そこにはこうしたアンバランスをなんとかして変えようとする決意がうかがえる。
まったくの私見ではあるが、中国の強みを引き続き保ち続けて、金メダル総数で他国勢を寄せ付けない努力をする必要もあるが、サッカー、バスケット、そして現在調整期にある女子バレーボールが世界の強豪を前にして堂々と一戦を交える日が来ることを願っている。そのためには建国以来の正しい方針をこれからも貫き通すとともに、国力の許す限り、アンバランスの是正に力を入れるべきだと思っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年9月2日