林国本
このところ、メディアで小中学生、高校生、さらには大学生らによるロボットコンテストが行われていることが伝えられているが、これは大いに提唱すべきことだと思っている。
私見ではあるが、中国の教育界には「暗記主義」、「点数至上」の傾向があり、創造性とか、クリエイティビティを軽んじる傾向があった。一部の人たちの間では、これは歴史上かつて長期にわたって続いてきた科挙の影響であるかも知れない、と言っているが、科挙は廃されてからかなりの期間を経ているので、暗記主義などはやはり現代中国の教育システムのマイナス面と見てもよい。
最近、中国は宇宙ステーション打ち上げの準備をつづけているが、その作業にたずさわっている人たちがここ数年、30代、40代の人たちにバトンタッチされているのを目にして、私は宇宙産業ばかりでなく、国民経済のすべての分野でこうした創造性に富む世代が育ってくれば中国が21世紀なかば頃に中程度の発達国になることは間違いないと確信している。
中国は改革開放以来、急速な発展をとげてきたが、まだかなりの分野ではキャッチ・アップ型の発展モデルを脱していない。かなりの分野で後追い型の発展をつづけている。発展途上国としてこういう段階を経ることは不可避であるが、最近、いろいろな場で言われているように、発展方式を変えなければならない時期に来ている。
先般、亡くなったアメリカの元アップルのスティ-ブ・ジョブズ氏、アメリカのヤフーの創始者を含めて、みんな若い頃にガレージで開発に励み、おそらく毎日コーヒーとホットドッグという暮らしを続けながら周囲の不理解に耐えて頑張り、新しいシステム、新しいコンテンツを世に送り出し、今や世界じゅうの若者たちがその恩恵をこうむっている。
中国人は歴史上いくつかの発明を残してきた。中国系の人たちでノーベル賞物理学賞を受賞している人も何人かいる。13億人の人口をかかえる中国からさらに多くの優秀な人材が育つためには、そういう環境を作ってあげる必要がある。毎年7%以上の経済成長が続いている中国のこと、青少年のクリエイティビティの育成のために力を入れるべき時期に来ているのではないだろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年10月20日