北京紅楓婦女心理カウンセリングサービスセンターはこのほど、「家庭内暴力(DV)防止啓発シンポジウム」を開催した。出席した専門家達は、反DV法の立法・発表計画の制定を急務とし、法律によってDV加害者を取り締まり、社会観念の転換を推進し、DVの蔓延を抑制する必要性を訴えた。
北京紅楓婦女心理カウンセリングサービスセンターの創始者で女性問題を専門に研究している王行娟氏は「中国では、DVが蔓延化している」と指摘した。中華全国婦女連合会と国家統計局が実施した「第3回中国女性の社会的地位に関する調査」の結果、さまざまな形でDVの被害を受けた経験のある中国女性は24.7%に上ることが判明した。同センターが受けたDVに関する相談電話約2600件を分析研究した結果、犠牲者の多くは、暴力を止めさせ、結婚生活を続けたいと望んでいることも明らかになった。しかし、効果的な法律面でのサポートや十分な救済ルートが不足しているのが現状だ。
中国法学会婚姻家庭法仏研究会の郭建梅理事は「中国には、DVに特化した法律はまだ存在しない。関連する法律規定は、さまざまな法律法規に点在しているが、大義名分ばかりで実質性が伴っていない」と指摘した。中国では、DVで訴えるには「条件」が設けられており、「軽傷」以上の被害を受けた場合、初めて提訴できる。「軽傷」程度の事件については、警察側は、仲裁に入って事を済ませる場合がほとんどで、実際に懲罰が下るケースはほぼ皆無だ。3年前、DV事件が110番通報による出動対象に入ったが、職能に関する規定が曖昧である上、「家庭内部の事は、外部の者にはわからない」という従来の観念から、警察は単なる「家庭内のいざこざ」として片付け事件として扱わない、あるいはほかの暴力事件と同様に直接検察機関に引き渡したす場合が多い。
「人民網日本語版」2011年11月28日