お酒の世界に、母親のような性格の酒がある。静かに美しいお酒の世界に導き、どんな料理にもすべからく合う。
その名前はよく知られているが、その味は私たちの記憶にはっきりと刻まれてはいない。この「清酒」という酒の「清」の字は決して酒の味が薄く、強くないことを指すのではない。「清」の意味は飲みやすく柔らかで、すべての食べ物と合うことをさす。昔から、詩歌、酒、美人、仕事は日本人男性の生存意義の基本要素といわれてきた。生きている限り懸命に仕事をし、仕事の合間に一杯の清酒を飲む。清酒の日本人の心の中での役割がよくわかる。