悲恋が映し出す日本の「物の哀れ」の美意識
「物の哀れ」は日本文化の重要な要素であり、『源氏物語』に起源をもつこの精神は、川端康成によってより深められた。いわゆる「物の哀れ」は一種の美意識であり、その美意識がとらえる美しさは感覚的に美しさで、理性によって判断するものではなく、直感的に感じる美しさ、つまり心でしか感じ取れない美しさだと言える。
少し前には、日本の映画界に「悲恋」をテーマにした作品が多く現れ、『僕の初恋を君に捧ぐ』では、幼いころから心臓病を患っていた主人公の逞が最後にはこの世を去るなど、悲しい結末の純愛物語が多かった。観客は号泣の中、初恋の美しさをより強く印象付けられるのだ。
『世界の中心で愛を叫ぶ』は片山恭一の小説で、テレビドラマや映画が社会現象にまでなった。この映画が多くの人を感動させたのは、この作品が描く全く混じりけのない純粋な愛情が、人々の生活の中に掛けていた感情を満たし、ぎすぎすした現実によってすり減らされた神経を回復させて、愛情への渇望を満たしたためだろう。
ゲーテは言う、初恋は唯一の恋愛である、と。日本の純愛映画が描いているのは、青春、愛情などの単純なストーリーで、初々しい淡い想いを心に焼き付ける。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年12月15日