緑色の軍用コートと白いスニーカーといういでたちの英国出身の若者が鼓楼付近のレストランの前で、手作りの軽食を積んだ三輪車を押しながら声を張り上げた。「私は英国の美食王、名前は『大米』、お1ついかがですか?どうぞご賞味ください……」。
この「大米(ダーミー)」という若者は、自家製の「Hummus(ヒヨコマメのディップ、中東などで広く食される)」を路上で販売している。時おり有名な漫才の一節を演じて見せ、ユーモラスな北京方言と大げさな表情で周囲を笑わせる。
「大米」の本名はJamie。ロンドン大学東洋アフリカ学院で中国語を専攻した。背が高く、おいしい物が好きなことから、大学の教授に大米という中国名をもらったという。
1988年に英国で生まれ、1歳のときに両親と香港に移民した彼は、香港を故郷だと思っている。しかし香港で18年間過ごしながらも、広東語を少し覚えただけで中国語は一言も話せなかったため、彼は中国語を専攻として学ぶことに決めた。2008年には北京師範大学で1年間留学した経験も持つ。
2011年に大学を卒業後、再び北京を訪れた大米は、会社に就職するのではなく、自分流のやり方で「北京ドリーム」を叶えることを選んだ。「小さい頃から料理が好きで、7、8歳のころにはもう料理をしていました。オフィスよりもキッチンにいる方が好きなんです」。
少し前、彼は英語の教師を務める傍ら、路上で軽食を売りつつ夢をかなえようと決めた。11月30日、彼の店が正式にオープンすると、父親も応援に駆けつけた。以来、大米は自分の住む後海・鼓楼の付近で不定期に店を開いている。将来の夢は中国で中国風と西洋風が一体化した本格的なレストランを開くこと。「これ以上寒くなったら外での販売をやめて家でメニューの開発に取り組みます」。制作のプロセスは動画にしてミニブログにアップするという。「安い現地の食材で簡単にできる本格的な西洋料理の作り方を中国の皆さんに紹介します」。話しながらも、おいしそうな料理につられて何人もの観光客がやってきた。「はい、いっちょあがり!」と大米は慣れた手つきでHummusを作り、「ミニブログ名は英国大米です、チェックしてくださいね」と言いながら客に手渡した。
「人民網日本語版」2011年12月26日