毎年アカデミー賞の前哨戦の1つとして大きな注目を集める「ゴールデン・グローブ賞」の今年のノミネーション作品が米国の現地時間15日に発表。中国映画界の巨匠、チャン・イーモウ(張芸謀)監督の最新作「金陵十三釵」(The flowers of war)が選出された。中国国営ラジオ「中央人民広播電台」が運営するウェブサイト「中国広播網」が報じた。
撮影の準備に4年、総額6億円(約72億円)が費やされた同作品は、中国で公開からわずか10日で興行収入3億2千万円(約39億円)を記録するなど、大好評となっており、メガホンを振ったチャン監督も、同作品の原作小説の作家で今回脚本も手掛けた米国在住の人気作家・厳歌苓(ゲリン・ヤン)さんに最敬礼していることだろう。では、ゲリンさん本人は同作品をどう評価しているのだろう。
ゲリンさんは普段、公の場にほとんど姿を見せず、同じく脚本を手掛けた映画「花の生涯-梅蘭芳-」(2008年)の公開宣伝イベントには1度も参加しなかった。そんなゲリンさんだが、今回の作品の宣伝イベントには幾度となく姿を見せ、同作品への思いを熱く語っている。
小説を書くのが一番の楽しみというゲリンさんは、自身の小説が映画化されることを「まるでダンスのよう」、ダンスの「パートナー」が優秀であってこそ、自分も軽快なダンスを披露できると独特の言い回しで表現。「改編後の『金陵十三釵』は、私が演出家としてやって来た20年の中で、最高の脚本。この脚本を握っていると、まるで、宝物を手にしたような感覚になる」とゲリンさん。
さらに「小説の中の牧師を偽の牧師に変えたのが一番良かった。教会に来る人は、実際にはみんな避難して来る人々。例えば、牧師の米国人も、命からがら逃げ込んできた人の一人。その米国人が教会に入り込み、牧師という立場を使えば子供たちを守れることに気づき、牧師を演じ始める。このように、戦争という極限状況の中で、人々はさまざまな役を演じるようになる」と語った。
一方、原作を書いた動機についてゲリンさんは、ひどく痛ましいイメージを人々の心に焼きつけるためではなく、南京大虐殺という事実を世界で風化させないためで、中国人小説家として国家のためにできることをしただけとした。
「人民網日本語版」2011年12月28日