日本の華字紙「新華僑報」で2月10日、「日本の特任教授が考える忍者精神の復興」という文章が掲載された。以下概要。
日本の「忍者文化」の伝統は長いが、現在では衰えつつある。共同通信社によると、三重大学は先ごろ、「最後の忍者」と呼ばれる福井県の川上仁一さんを社会連携研究センターの特任教授に任命した。川上さんが担当する課目は「忍術学」で、「忍者文化」と「忍者精神」の再生が趣旨。現代社会に合った活用も目指す。
忍者は、寿司や芸者と同様に、国際的に知られた言葉だが、本当の忍者は歴史の舞台からは消えた。62歳の川上さんは「伊賀流忍者博物館」の名誉館長でもある。川上さんは今後、「忍者の都」とされる三重県伊賀などの地域の振興活動に務めるのみならず、研究活動を通じて日本の忍者文化を国内外に広げたいと語る。
日本の忍者は、決められた規範を順守する。それが「忍術」である。忍術には戦闘や情報収集、攪乱などのほか、変装や隠れ身、格闘、爆破、地理、医学などの課目も含まれる。彼らが忍術を学ぶ本質的な目的は、暴力や破壊の手段を窮めることではなく、個人を取り巻く環境との協調性や適応性を養うことにある。真の忍者になりたいならば、辛い修行と訓練を経る必要がある。
「忍者文化」が日本文化に与えた影響は大きく、日本文化の重要な構成要素となっている。しかし、現代文明の発展と科学技術の進歩により、「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前」の九つの箴言を持つ忍者は歴史から消えた。「忍者文化」はアニメ映画の題材になり、「忍者精神」は現代から消えつつある。日本の若者を見ると、成長する環境が異なり、個性的で、おしゃれで、自我の強い人々であることが分かる。現代社会には、お金に飢えて「援助交際」をする学生がいる。社会に出ずに家に閉じこもる「草食系男子」もいる。男性の「女性化」も増加した。そこに「忍者精神」は見当たらない。
このような状況下、日本に「忍者文化」と「忍者精神」を復興させるは、十分に意義あることだ。たとえば、忍者はあきらめることなく任務を果たそうとする。不可能だと思える状況にであってさえ、目的を達成するまで当初の決意を鈍らせることはない。また、彼らは組織に対して絶対的な忠誠心がある。どんなひどい仕打ちを与えても、彼らをつぶすことはできない。
もちろん、現代の日本で「忍者文化」と「忍者精神」を復活させるのは一朝一夕でできることではない。川上さんは、「忍術は生きるための知識を集大成したものです。最終的には、現代社会をサバイバルする術を与えたいのです」と言う。目標達成までの道のりは長そうだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年2月11日