一週間後、ダンスチームは埼玉県でイベントを行った。ここは大森の故郷である双葉町の被災者が暮らす場所だ。舞台を見下ろすと、知った顔がたくさんいた。大森は涙が止まらなかった。「被災者を励ますためにやってきたのに、まさか私たちが励まされるとは思わなかった」と大森は回顧する。
1年も満たないうちに、大森と彼女のチームは全国257か所でダンスイベントを行った。活動を通じて大森の考えも大きく変わっていった。「被災者の前でダンスをするべきなのかどうか、最初は不安でした。しかし、もし自分が何も行動しなかったら、何も変わらないと思い直しました。私たちも被災者です。だからこそ、自分自身の行動によって自信と希望を伝える必要を感じたのです」。
今年2月、「スパリゾートハワイアンズ」が再開した。彼女たちはとうとう自分の舞台に戻ってきた。現在、当施設には約2千人の観光客が訪れる。震災前の半分である。より多くの人が来園し、自分たちのダンスを見てもらいたい、ダンスでより多くの人に喜びと力を伝えたいと大森は願っている。
当施設を訪れた東京の観光客は記者に対し、「ここで消費することを通じて、被災地の再建のささやかな力になりたい。ここはとてもにぎやかで、福島にいる気がしない」と語った。
確かに、現在の福島は多くの顔を持つ。放射能汚染区域、無人となった街、廃墟、涙と感動、苦渋と希望、夢と不屈の精神が同居する。
「福島の沿海地区には、まだ瓦礫で山となった廃墟が数多く残っている。再建は遅々として進んでないようにも見える。しかし私は、ダンスを通じて故郷を再建したい。たとえ小さな一歩だとしても」と大森は語る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年3月13日