2月20日、福島県、防護服と防護マスクを着用した記者たちが東京電力の社員に案内され、福島第一原発に入る。
高放射線量の中での作業
昨年12月、東京電力と日本政府は、原子炉が「冷温停止状態」になったため、発電所の事故そのものは「収束した」と宣言し、この後は主に廃炉に向けた除染・修復作業を行なうと発表した。しかし、この工程は数十年かかると予測されている。
原発で除染作業を行なっている野村武さん(仮名)は、「政府は放射能の除染作業は3年かかると言っているが、そんなのは嘘だ。人々が安全に戻れるまでにはもっと時間がかかるし、そんな日は永遠に来ないかもしれない」と指摘する。ここ1年の間、専門家と一般の職員で構成された3600名の作業チームは毎日、原発で「尻拭い」をしている。東京電力は作業員の安全は確保されていると言うが、多くの作業員がそう感じていないようだ。
原子力発電所の収束作業副主任である盤木勝彦さんは「多くの作業員が朝晩交代で作業を続けている。1回の作業は2時間だが、放射線量が高い場所では3分間ほどしか作業する事ができない。チューブを繋げる作業ひとつで、測定器の警報が鳴り、その場を離れなければならない」と話す。
放射線への恐怖以外にも、彼らは技術面での難題に直面している。日本でここまで深刻な放射能漏洩事故が発生したのは初めてであり、作業員たちは参考にできる前例がないまま、どのような作業が正しいのかという確信を持てずに進めている。
また、原子力発電所での作業は尋常ではないほどにきついものである。気温が高い夏になると、原子炉内の気温は38度にまで達する。劣悪な作業環境の中、作業員は3時間働いても、防護マスクを途中で外せないために、水が飲めないと言うような状況があるという。
これに対し、東京の労働安全衛生センターの伊田勝康幹事長は「東京電力が原発作業員の仕事の環境を改善しなければ、深刻な作業員不足となってしまうだろう」と懸念した。『東京新聞』では「ここまで大規模な作業チームであっても、修復作業には事足りない。ベテラン職員は皆、既に原発を離れてしまっている。ここは危険すぎるし、給料も大して高いわけではなく、危険を冒してまで続けたいと思う人はあまりいない」との作業員の言葉が紹介された。