留学中のカナダで昨年8月に凶暴なピューマの口から赤ちゃんを救出した中国人大学生を13日に取材した。170センチ前後の細身の体型に黒ぶちのメガネという大人しそうな見た目からは、奇跡の救出劇を演じたヒーローを連想できない。浙江省の夕刊紙「銭江晩報」が報じた。
この救出劇を演じたのは、中国浙江省農林大学の大学3年生、瀋慧剛さん(22)。英語を専攻する瀋さんが昨年8月、カナダに交換学習に行った際に起きた。
「私の孫息子を救ってくれた瀋さんにはとても感謝している。本当に不思議な奇跡だ……」。 同校にカナダから届いたばかりのこのメールを見て始めて、瀋さんが確かにピューマの口から1歳6カ月の赤ちゃんを救出したヒーローだと確認できた。
このメールは、救出された赤ちゃんの祖父マイルスさんからのもので、「現地で、人がピューマに襲われる事件は、ここ35年間発生していなかった」とし、瀋さんに対する感謝の気持ちが幾度も記されている。
弱々しい感じのする瀋さんが自分の身を守りながらも、さらに凶暴なピューマの口から、赤ちゃんを助け出すことなんて本当に可能なのだろうか。筆者はその点を一番知りたかった。
「信じられないなんて言わないで。確かに、仲のいい友人らも『不思議』と声を揃えていた。それに、カナダの旅行局職員や警察なども、『あの村でピューマなんて見たことがなく、初めて目撃したのが中国人で、それに加えて人を襲っていたところなんて』と目を丸くしていた」と瀋さん。
さらに、「私とマイルスさんはあの日、専門家が赤ちゃんの傷口を検査し、人為的な物ではなく、確かに猛獣にかまれたものであるとの結果が出るまで、病院で警察から何時間も事情聴取を受けた」となかなか信じてもらえなかった当時の様子を語った。