日本の「黒社会(ギャング)」と言えば、「暴力団」という固有名詞が存在する。暴力団の「業務」は幅広く、恐喝・詐欺、殺人・放火、売春の斡旋、高利貸し・マネーロンダリング、闇金融などどんなことでもする。山口組は日本最大の暴力団で、国際的にもその名が轟いており、イタリアのマフィアにも劣らない。
暴力団は現代の日本の地下経済の主役である。西洋諸国の経済が低迷し、日本の震災後の出費もかさみ、暴力団が持っている「うまみ」を、政府はもはや見て見ぬ振りはできなくなった。
2011年3月、日本で公布された『暴力団排除条例』は、1960年代から続いていた「暴力団撲滅」の動きに火をつけた。米財政部も近日、山口組組長の篠田建市氏と若頭高山清司氏のアメリカ国内の資産を凍結することを発表した。
「日本の国内消費は落ち込み続けており、従来の電気機器産業も振興経済体の台頭に直面している。アメリカ政府が山口組を攻撃したのは、日本政府との連携があるからだろう」と中日財政経済問題専門家で『洗銭内幕(マネーロンダリングの裏側)』の著者姚耀氏は『中国経済週刊』で指摘した。
指定暴力団の由来
暴力団の起源は江戸時代であり、当時、町から町へと渡り歩きながら祭礼の周辺で商業活動をする旅芸人「的屋」や「香具師」、博打を生業とする「博徒」などの二種類の人々が暴力団の中心勢力になったと言われている。
組織化された暴力団が形成されたのは第2次世界大戦以降である。「第2次世界大戦以降、天皇は名目上の象徴的存在となり、アメリカが実質上のボスとなって日本政府は無力だった。身分の低い者たちは窃盗や略奪行為に走り、良い地盤や商売を独占するようになった。政治家が権力を持ちたいと考えるなら、地盤も必要、お金も支持者も必要である。そうなれば、もう暴力団に頼るしかないのだ」と姚耀氏は説明する。
従来の「黒社会」とは違い、日本の暴力団は非合法的な方法で利益を得る以外に、合法的な商売も行なっている。
今、世界の先進国の中で、日本は唯一組織的な暴力団を認めている国である。日本の『暴力団対策法』によると、一定条件を満たした極めて悪質な暴力団は「指定暴力団」に指定されおり、様々な方面での制約を受ける。現時点で山口組を含め、日本国内で22の暴力団が「指定暴力団」に登録されており、合法的な名称を持っている。日本の警視庁の資料によると、22の暴力団の最盛期の合計人数は20万人を越えていた。
1915年に設立された山口組の勢力は最も巨大で、組員は暴力団全体の44.4%(2010年時点)を占め、日本47都道府県中45箇所に事務所を構えている。山口組と緊密な関係を持っているのは稲川組、松葉会、双愛会、共政会、会津小鉄会などで、敵対関係にあるのは住吉会、極東会などだ。これら暴力団の間には往々にして明確な勢力範囲の区分が存在する。
実際、日本の暴力団は一般の人には手出しをしたりせず、謙虚で礼儀正しく、相手を尊重する。日本の人々が暴力団をただ「敬遠」しているだけなのもそこに理由があり、政府に頑なに取締を求めたりしない。「日本は大和民族で、『和』を一番に考える。既に存在しているものに対して、人々の安全を極端に脅かさないのであれば、ましてや街中で堂堂と略奪・殺人・放火などの違法行為をしないのであれば、わざわざ余計な口出しはしない」と日本の企業家である秋葉和良氏は『中国経済週刊』で語った。