旧日本軍による性暴力被害者だと自ら名乗りを上げ、初めて日本政府に対して訴訟を起こした万愛花さんの病状がここ数日で悪化している。資金面での支援が途絶え、訴訟の継続が難しくなっているという。中国青年報が伝えた。
中日交流促進会秘書長および日本記念南京大虐殺犠牲者60周年全国聯絡会共同代表を務める在日華僑の林伯耀氏は、「万さんは、自分が中国侵略日本軍による性暴力の被害者である事実を一番に名乗り出て、訴訟を起こした女性で、何人にも代え難い貴重な歴史の証人。被害者の女性達が毎年、次々とこの世を去っている」と語り、「万さんに救いの手を差し伸べてほしい」と中国の同胞に呼びかけた。
万さんの養女・李拉弟さんによると、万さんは今年1月16日、山西省太原市内の病院に入院。4月23日、医師により脳性まひと診断され、その後半身不随となった。20日前、家庭の経済的な事情から、医師が止めるのも聞かず、退院し帰宅した。
万さんと李さん一家は、農業を営むほか、アルバイトで生計を立てている。蓄えはほとんどない。万さんの入院中、日々のベッド代や薬代がそれぞれ約100元(約1250円)かかった。医療保険から約3万元(約37万5千円)支給され、家族は薬代約1万元(約12万5千円)を自己負担していた。
万さんが退院して自宅に戻ったことで、介護ヘルパーを雇う必要が生じた。介護費は月1500元(約1万8750円)から1800元(約2万2500円)かかる。一家には、すでに医療費のために1万元以上の借金があり、今後、必要経費を支払う余裕はない。冠状動脈性硬化症を患っている李さんは、これまでに3度緊急入院したこともあり、養母である万さんを看護する気力も体力も持ち合わせていない。
日本に住む華僑の人々が今年3月、日本から万さんを見舞いに中国に来た。その時に、約9千元(約11万2500円)の援助金を家族に手渡した。援助はこの1度きりだった。これを知った中国ヤフー公益チャンネルは「あなたの代わりにご両親の面倒を見ます」と題する慈善キャンペーンを通じて支援者を募り、ネットユーザーの思いやりの心を携え、この老婦人を見舞った。
林伯耀氏は、「華僑会では、ほかにも多くの援助プロジェクトを抱えているため、万さんを資金面で長期間支えていくことは難しい。実際、すでにギリギリのところまで来ている。我々はこうした経緯から、中国の人々に窮状を訴え、温かな援助の手を求めるしかなかった」と語った。
「人民網日本語版」2012年6月28日