独立行政法人・国際協力機構(JICA:東京都千代田区)が主催する「中日環境汚染健康損害賠償制度セミナー」が3日、北京で開幕した。
中国では飛躍的な経済発展に伴い、水質、大気、土壌の汚染問題が日増しに深刻化している。汚染防止対策が徐々に整備され、環境行政部門への市民からの提訴・提案も増加傾向にある現在、公害病認定制度、および環境汚染被害者に対する補償制度の構築が急務となっている。
この現状に対しJICAは「環境汚染健康損害賠償制度構築プロジェクト」を立ち上げ、2009-2011年に環境保護部、衛生部など関連機関の行政官、研究者らを対象に訪日研修を3回実施。参加者らは日本の公害健康被害賠償制度の整備、現状、法体系、さらに関連ノウハウに対する理解を深めた。
フォーラム開幕式で、環境保護部科学技術標準司の胥樹凡・副巡視員は中国の環境・健康制度をめぐる現状について、「中国は一定の進展を遂げたが、環境問題に伴う健康被害の予防や健康被害が生じた際の権利保護が依然として環境管理制度や立法・司法制度づくりの課題だ。今回のフォーラムが中国の関連制度づくりに対する啓発となり、環境・健康管理事業を大きく前進させることを期待する」とあいさつした。
JICA中国事務所の中川聞夫(なかがわ・きくお)所長は祝辞で、「今回のフォーラムは日中国交正常化40周年記念事業。このフォーラムが中国の賠償制度整備に向けた研究の手助けとなる一方、日本のノウハウや知識を生かした中国側との持続的協力や人口高齢化などの社会問題に関する共同研究のきっかけとなり、互恵関係の充実化や友好関係の促進につながることを期待する」と寄せた。
2日間の会期中、中日専門家は環境汚染損害賠償における政策、法律、施策、および健康被害リスク管理、法律問題などについて、具体的事例を交え討論する。