林国本
2008年の北京オリンピックで中国は金メダル総数でトップに立ち、国民全体が歓喜のるつぼの中で喜びをあらわにした日のことを今でも覚えているが、私見であるが、私はその時からすでに中国スポーツ界の前途に大きなハードルが横たわっていることを予感していた。
新中国の建国以後、スポーツ「後進国」の汚名返上のため、中国スポーツ界の先輩たちは、生涯をかけて頑張ってきた。その夢が2008年に完全に実現したのだから、国中が沸き上がるのは至極当然である。しかし、この成果を手にするために、かなりの課題を積み残してきたことも否めない。
最近、劉延東国務委員が、中国のスポーツ選手たちの青少年としての諸学科の勉強に注意を払うべきだと語っていたが、これは中国スポーツ界がこれから注力しなければならないことを指摘したものだと思う。
スポーツの世界は、大体30代の初め頃に引退を考えなければならなくなるのが常だが、デジタル化がどんどん進んでいるご時世のこと、それまで1つの種目に特化してトレーニングに没頭してきた若者たちのかなりの人たちは、スポーツ界内部で引退後の生活を過ごせない現状では、実社会での再就職の途を探さなければならなくなる。かつてはスポーツ界にも、いろいろな学科を教えるシステムが一応できていたが、もうそういう付け焼き刃のようなことでは間に合わなくなっている。