教授自ら講義で求愛の秘訣を教え、学生らに実際にグループワークを行わせ、カップルになるよう指示する。米国ドラマに出てくるようなこんなシーンが九州大学(福岡市東区)で実現した。ウェブサイト「日本新華僑報網」が伝えた。
九州大は今年4月から、1年生を対象に新たな講義「大学では教えてくれない大学生のための大切なコト」を開設した。「大学では教えてくれない大学生のための大切なコト」は2単位が認められ、すでに150人の学生が履修している。講義を担当するのは佐藤剛史(さとう・ごうし)助教授。九州大は歴史ある伝統国立大でこのような「得体が知れない」講義を行うというのは単なる話題づくりだと批判する声もある。しかし視点を変えれば、大学内で「求愛授業」を開設することは、日本社会にとって、「現在に功があり、未来に利を残す」良きことなのかもしれない。
▽「現在に功がある」
国立社会保障・人口問題研究所(IPSS:東京都千代田区)が昨年発表した統計によると、日本の18-34歳の未婚男女のうち、「異性との交友が未経験」の男性は60%、女性は49.5%だった。この現象をもたらした最大の理由は、現代の日本の若者には人付き合いが苦手の「オタク男」「オタク女」が多いことがあろう。
3年ほど前から、日本の各大手コンビニは電話注文・宅配サービスを相次いで始めた。高齢化社会となった日本では、単身世帯の比率が高まる一方で、一人暮らしのお年寄りは買い物に出かけるのも不便だ。お年寄りに便宜を図り、顧客層を拡大しようという狙いがあった。しかし宅配サービス開始から1年後、ローソン(東京都品川区)がまとめたマーケットリサーチの結果は意外なものだった。最も多くサービスを利用するのは高齢者ではなく、平均年齢21歳の大学生だったのだ。学生らのサービス利用の理由は、「買い物に外出するのが面倒。人と話すのがおっくう」だった。
今年1月、某大手求人会社が日本全国の大学3年生を対象に行った就職に関するアンケート調査によると、「就職先選択で何を最も重視するか」との質問に、「就職先の人間関係」が93.8%、「年収」が90.5%となった。
人付き合いに興味がない、あるいはコミュニケーションのとり方が分からないというのが、日本の大学生のキャンパスライフや職探しの「共通病」となった。「求愛授業」の開設は大学生の交際力を高め、人付き合いでの難しさを克服する突破口のひとつとなり、大学生の就職、社会への旅立ちを後押しするものだ。よって「現在に功がある」といえる。