「米カジュアル飲食文化の媒体・シンボル」であるスタバが、北京故宮にオープンしたことは、一種の「文化侵略」だとみなされ、中国の伝統文化を脅かす存在であると非難された。しかし、スタバ撤退後にオープンした故宮経営の「故宮面条館」はどうなのか?文化的責任と民族文化の使命感という名のもとにスタバを追い出した張本人が、1杯30元の麺で利益を上げる行為は、自らを欺き他人をも欺くことにはならないのか?
文化・伝統と商業開発の間のバランスをいかにして上手く取るかは、中国各地の名所旧跡が抱えている共通の難題だ。外国のケースでは、たとえば、韓国の「故宮」景福宮では、伝統文化の雰囲気を損なうような飲食店が、敷地内での営業申請を行うことは、現地政府が一切認めておらず、入口に飲み物の自動販売機が設けられているだけだ。遺跡・文化財の保護に関し、日本はより保守的で、万一、現代的な設備や商業モデルを無断で導入した場合、文化遺産は「格下げ」処理の対象となり、「国宝」や「重要文化財」のリストから除名される運命となる。
名所・旧跡の伝統文化がじわじわと衰退していく理由を改めて考えたとき、スタバをはじめとする外国ブランドの勢いがあまりにも高まったことだけが原因とはいえない。商業施設のサービスの内容が、真実の観光客のニーズを上回る過剰なものになっていないかどうかが問題だ。商業開発は、文化遺産保護のための一手段にすぎない。商業開発だけが先走りすると、名所旧跡は「金まみれ」になってしまう恐れがある。
「人民網日本語版」2012年9月25日