日本は農業資源に恵まれていないため、主要な農産物を輸入に頼っている。日本のスーパーに行くと、様々な輸入食材が売られている。たとえばカナダ産牛肉、アメリカ産オレンジ、韓国産ニンジンなど。しかし基本的に国産だけのもある。米だ。国産米は国民の要求を満たすと同時に、世界各地で売り込まれている。
新潟県の「コシヒカリ」の価格は通常の3倍以上だ。日本人がコメのうまさを評価する際、主に「甘み」と「粘り」で判断する。そしてコシヒカリは、この2点において圧倒的な評価を得ている。食通の間で人気を博しているだけでなく、高級寿司店が宣伝するときも「コシヒカリ使用」という言葉が欠かせないほどだ。
日本人は米が大好きだ。普段よく食べるスナックすら米でできている。甘いせんべいや醤油せんべい、甘酒など。米は酒の原料でもある。
現在、多くの家庭でさらなるおいしさを追求しており、精米機を取り寄せている人もいる。その場で精米することで、米がさらにおいしくなるというのだ。
米は日本の飲食の中で重要な地位を占めているため、米を評価する機関や職業も数多く生まれている。
東京に本部がある「日本穀物検定協会」は、企業向けに米の残留物や栄養成分を検査している。米鑑定の専門家が米の味を評価するとともに、毎年「米の食味ランキング」を発表している。一級の米鑑定師は博士学位にも相当する地位を持ち、日本にわずか300人しかいない。
さらに興味深いことに、バラエティ番組に米がよく取り上げられることがある。番組の司会者がスタジオでいくつかのご飯を並べ、スターたちにそれぞれの米の産地を当てさせるのだ。「米鑑定」が得意なスターが一口食べてその産地を当てると、観客はおもわず歓声を上げる。
「米」という文字は中国語と同じだが、日本ではそこに特別な意味を込めている。「米」の字を分解すると「八十八」となる。そのため「米を収穫するのに八十八の手間がかかっている」という話が民間に伝わっているのだ。中国語の「粒粒皆辛苦」と同様の意味だ。
日本では、88歳になった老人を「米寿」と称する。また伝統的な日本の家庭では、神棚に毎朝、日本酒と一杯のご飯を嫁が備えることになっている。