中国では近年、かつては「海帰」(海外帰国者、「海亀」と同じ発音)ともてはやされた海外帰国組みが、「海待」(海外から帰国しても仕事が見つからず就業待ちの状態、「海帯」<昆布>と同じ発音)とからかわれ、最近では「海外帰国組の就職は難しい」「海外帰国組はもはや歓迎されず?」「海外帰国組の初任給3千元(約37,300円)、一体なぜ?」といった文字が紙面を飾っている。もっとも、問題の矛先が向けられているのは、すべての海外帰国組ではなく、20代を中心とした「80後(1980年代生まれ)」だ。「特別な世代」という烙印を押された「80後」は、時代が巻き起こす向かい風の矢面に立ち、またしても世間の話題の的となっている。上海証券報が報じた。
▽現実的で冷静な視点をもつ「80後」海外帰国組
羨望(せんぼう)や尊敬から嘲笑・憐れみに至るまで、さらには、「値上がるまで待って売る」から「値引きしてでも売る」まで、「80後」海外帰国組をめぐる議論や問題は百花斉放の状態だ。彼ら自身は、楽観的かつ冷静な態度で現実と向き合うという選択をしている。現実に対しては、ぶれない独自の視点を持ち、将来に対してはより現実的で楽観的な見通しを持っている。
南開大学を卒業後、英エジンバラ大学で修士課程(金融学)を修了し、現在は北京の金融機関で働いている王鵬志さんは、帰国を選択した理由について、「中国では、急成長を遂げる経済や政府による海外帰国人材優遇政策というダブルの吸引力がある。その上、自分が一人っ子という家庭の事情もある。自分のキャリアアップや家庭事情という点を考慮すると、帰国という選択は、私にとってよりメリットが大きかった」と説明。「初任給3千元」報道については、「同じ『80後』でも、初任給1万元(約12万4千円)以上の人もいれば、3千元の人もいる。これは個人の能力の問題だ。入社後即戦力とは成り得ない未経験の人に、高給を出す企業はない。一方、大きな潜在力を秘めた人なら、企業の未来に大きな戦力となる。3千元でスタートしても、金の卵は必ず才能を開花する。能力はひとつずつの積み重ねでアップする。だから、もう少し大きく構えていれば良い。まさに『千里の道も一歩から』だ」と語った。