▽赤信号が90秒以上続くと、信号効果はゼロに
「辛抱できる待ち時間の限界」に関する杭州市街地での調査から、同済大学の研究チームが出した結論は、「杭州市で実施された少量サンプル調査の結果、杭州市民の待ち時間の限界は70秒から90秒であることがほぼ結論づけられた」というものだった。
その後、同済大学は上海でさらに大規模な調査研究を展開した。その結果は、杭州で得られたデータとほぼ同じだった。
研究チームは、交差点3カ所と道路入口5カ所を通行する計1820人の歩行者を対象とした調査を実施した。
1820人は全員、赤信号の間、横断歩道の停止線より前で待機していた。信号が青に変わるまで待っていた人と、しばらく待っても信号が変わらないと横断し始める人とがいた。
歩行者に何らかの影響が及ぶことを避けるため、調査のための撮影は、隠し撮りで行われ、歩行者からは撮影機が一切見えないよう工夫が施された。
研究チームは、分析の結果、「交通量が多い主要幹線道路の交差点で歩行者が辛抱できる待ち時間の限界は90秒。これを上回ると、歩行者の信号無視は避けられない」との結論に達した。
「つまり、赤信号の表示時間が90秒を超えると、信号機の効果はゼロになる」と李教授は説明した。
また、研究チームによるアンケート調査と撮影ビデオ分析の結果、自動車の通行量が非常に多く、流れが滞っており、赤信号の役目が果たされていない時に、信号を無視して横断する歩行者は85%に達することが判明した。歩行者が集団で横断し、自動車が道を譲らざるを得なくなった時、人と車とのせめぎ合いが激化し、交通秩序が乱れる。