今回の大会は、ある意味ではこれまでの数十年の締めくくりであるとともに、将来に向けての門出と言ってもよいイベントである。私は一介のジャーナリストとして、第一線から引退してからも、スポーツファンの1人として各国のスポーツの動きに関心を持ちつづけているが、私見として、世界のスポーツ祭典で中国の選手が大活躍しているのを見て、感動している人間の1人である。
しかし、中国のスポーツ界も、じっくり検討して見ると、まだまだアンバランスをはっきり見て取ることができる。たとえば、オリンピックのメイン種目である陸上競技では、1つか2つの種目でしか中国の実力を示すことができないし、サッカー、バスケット、バレーというボールゲームの種目ではほとんど二流の存在でしかない。かつて五連覇をとげたことのある女子バレーボール・チームは、ロンドン・オリンピックでは銅メダルにさえ手がとどかなかった。サッカーの強化のために、企業の協賛でスペインに少年を送り込んで育成に努めているが、これは一朝一夕で成果が現れるものではない。したがって、本当の意味でのスポーツ強国になるには、まだひと山、ふた山を越えることが必要であろう。