改良や少々の修正にはある程度の限度があり、時代を画する変化を生み出すのは難しい。新しい発想で革新的な製品や技術を生み出すのは、改良よりも難度がかなり高いだろう。とはいうものの競争が激化する昨今、イノベーションなくして時代をけん引する力は得られない。以前日本を象徴していた柔道にも家電業界にも、欠けていたのはここだ。
日本社会にまず足りないのは、革新的意識だ。革新的な意識や構想は往々にして思いもよらない効果をもたらす。現代の日本はほかの先進国の多くと同じく、年長者がこれまでのやり方を守り、若者に進取の気質が足りない。社会に問題は山積されているのに、人々は「安定」といううわべだけの中で日本にどのようなブレークスルーが必要か考える人は少ない。国際競技は常に刷新されているが、日本の柔道は数十年来なにも新しい技が生まれていない。家電業界は目の前で中国や韓国に抜かれながらも、革新的な次世代技術を生み出せないでいる。つまり、今の日本は革新的な意識という点ですでに後塵を喫している。
革新に不可欠な人材という面でも、日本は世代交代ができていない。近年、日本の各業界で刷新が叫ばれて「能力主義」や「成果主義」を実施しているものの、日本企業で長年行われてきた「年功序列」などはすでに企業文化の一部と化しており、覆すのは容易ではない。このような環境から革新型人材の大量流出が始まっている。日本柔道界の多くの優秀な選手は海外へ向かい、家電業界の優秀な人材は自ら下り、中国や韓国でキャリアアップのチャンスを模索する。「少子高齢化」が加速し続ける日本では革新的人材の不足ですぐにでも淀んだ停滞状態に陥るだろう。しかも柔道や家電だけでなく、ほかの業界も楽観できない状況にある。
安倍政権になって強力に「アベノミクス」を推進し、円安や文化、スポーツへの肩入れを行うことで、日本の家電業界や柔道もかすかに復活の兆しが見えるようだが、まだまだ新たな栄光までは遠い道のりだ。現在の日本は、柔道や家電業界だけでなく各業界、業種が類似の苦境に立っている。日本には「保守したければ革新せよ」という言葉がある。今こそ日本社会がこの格言を真剣に受け止めれば、問題の病巣のありかを探し出すことができるかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年3月29日