大木康氏は、日本の横浜の出身で、1959年1月生まれ、東京大学東洋文化研究所の所長。馮夢龍、明末江南地方における通俗文芸、出版文化、科挙制度と知識人、妓女文化などを研究する専門家。
王敏氏は、中国の比較文学、比較文化研究者、日本研究者。法政大学国際日本学研究所教授。
2013年4月5日、王敏氏は大木康氏と対談し、大木先生の中国文化を研究する理由、中国古典小説の日本での影響などについて意見を交わした。大木先生は中国語に長け、今回の取材では王敏先生の質問に中国語で答えた。
以下はその一部である。
王敏氏(以下敬称略 王)
大木先生はなぜ中国に興味を持ったのか。中国の明清文学を研究する理由は。
大木康氏
私は中学生の頃か、もっと小さい頃から中国に興味を持つようになった。横浜で生まれ育ち、今も横浜で暮らしている。家族と中華街に食事に行った時、レストランにあった関公の像に興味を持った。これは無意識的なもので、中国に対する最初の記憶は横浜の中華街、関公である。高校に入ると漢文の授業があり、漢文を非常に面白いと思った。これもひとつの動機である。東京大学に入学し、本格的に中国語を学び、その時の先生は伊藤敬一先生だった。伊藤敬一先生は中国語を教えるほかに、中国語で「三言」を読み、学生と一緒に学んだ。その時に「卖油郎独占花魁」を聞き、馮夢龍と「三言」に強い興味を持った。これが馮夢龍研究を始めたきっかけである。馮夢龍は多くの本を出版し、馮夢龍を知るには明末の出版の状況を調べる必要があった。馮夢龍は小説に妓女、青楼文化を通して中国的文人のあり方を記してきた。気高い中国の文人文化を知るために明清小説、特に馮夢龍の研究をしてきた。私の研究人生のすべてが馮夢龍から始まった。