どんな競技の勝者でも、いつも敗者の肩に立っている。勝てばもちろん喜ばしいことだが、失敗しても悲しむ必要はない。もっと大切なのは、激しい試合を通じて、自ら力いっぱい戦ってきた努力を選手たちが享受することだ。成熟したスポーツへの心理状態は、観覧席で丁寧な言葉を使ったり、礼節のある観戦態度だけでなく、自らの言動がスポーツ精神と合致するかどうかだろう。
スポーツ競技の最終的な目標は、国民の体力の向上にある。私たちは、様々な困難を乗り越え、体力的な苦痛を我慢して試合に参加する選手に対して敬意を表すのは言うまでもないが、自らの楽しみや見栄のために、世論のプレッシャーで無理やり選手を試合に参加させたりしてはいけない。そしてスポーツの本来の意味をしっかり心に刻み、選手たちのやむを得ない選択を尊重してこそ、スポーツはより科学的で健全な方向に発展することができる。成熟したスポーツ心理状態があれば、勝者に歓声を送ると同時に、敗者を励ますことができるのだ。
「体操の王子」と呼ばれた李寧選手は、1988年のソウルオリンピックで失敗し、帰国後、多くの国民に非難された。20年経った今、劉翔選手の棄権に対しては、理解や寛容の声が圧倒的に多い。これは中国国民のスポーツに対する心理状態が、国際オリンピックの進歩に伴って成熟していることを表している。
劉翔選手や中国の全ての選手、オリンピックに参加している全ての国の選手に喝采を送ろう。
「チャイナネット」2008年8月19日
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