体にいたるところに刺青をする日本のヤクザ
日本には多くの暴力団が存在しそれぞれ違った歴史を持つ。その起こりも歩んで来た道も一様ではない。ヤクザの「鼻祖(元祖)」は皆、「弱いものを助け、強いものを挫く」という任侠の精神を極めた武士たちで、強盗から自分の家や故郷を守っていたと彼らは言う。自分たちが浪人の精神を受け継いでいると言う人も居る(浪人とは、日本の幕末の政治運動に積極的に参加し、藩から脱藩して、自由に各地で活躍する武士)。
他にも、ヤクザは戦国時代末期から江戸時代にかけて現われた異端児である「かぶき者(傾奇者・歌舞伎者)」が由来ではないかと言う人も居る。かぶき者は異様な風貌を好み、派手な身なりをして、常識を逸脱した行動に走る。大きな刀や脇差を持ち、人々を脅して金品を奪ったり、罪のない人々を殺したりしていた。実際、日本の暴力団社会が形成された背景には、上記で述べたような起源が混在しているように思われる。明治になり、武士の身分制度がなくなり、心のよりどころを失ってしまった彼らは、暴力や犯罪行為に走るようになった。闇の世界で賭博所や遊郭を経営する武士も現われた。このような落ちぶれた武士や浪人など日本社会に入ってきた新たな勢力には共通点がある。それは、社会からは受け入れられなかったということだ。