2010年9月、釣魚島で発生した中日船舶衝突事件は、雪解けに向かいつつあった中日関係を一気に谷底へと突き落とし、中日関係は再び互いの信頼関係を築く試練を与えられた。特に、各側に非難された民主党政権の仕方は、政府からメディア、政治家から国民まで、皆の神経を逆なでした。「中国強硬論」や「日本軍事拡大論」は日に日に騒がしくなり、両国民の互いの国への好感度を過去最低にしたのだ。
発言中の徐敦信・元日本駐在中国大使
近日開催された第4回中日関係シンボジウムで、両国の政府役人、メディア関係者、大学教授などの専門家や学者が集まり、両国の国民感情の亀裂を修復するための様々な意見や策が討論された。
両国の国民感情を改善するためには、メディアと世論が大きな作用を及ぼすという一致した意見が得られた。特に、インターネットがここまで発展している社会で、ネットの威力は「恐怖」と言う言葉で形容できるだろう。ネットユーザーは国を越えて、匿名で過激な言論を発表する事ができる。ナショナリズムや国粋主義に傾いた考えで両国間に偶発する小さな摩擦でさえ誇大化することで、友好的な雰囲気に悪影響を及ぼす。これらの言論には冷静に対応すべきで、大げさに歪められた言論によって誤った方向へと引っ張られてはいけない。
民意は影響されるものだ
日本のメディアもネットも、昔からずっと「中国脅威論」というマイナス要素をやりたい放題言いふらして来た。日本の学者は、それは言論の自由の現れであり、政府が国民の意見を尊重している証であるので、それによって政府が何か改善する必要はないと述べる。
これに対し、北京大学歴史学部の教授で中日共同歴史研究委員会委員の徐勇氏は「政治家は国民の意見を無視してはいけないという事は、世界のあらゆる国に共通する分かりきった道理である。しかし、かと言って国民の意見は必ずしも独立した主体性のあるものではなく、誘導することができる」と指摘する。例えば、何年か前に起きた「餃子事件」は、元は刑事事件だったが、メディアが世間を間違った方向へとたきつけ、結果的には外交問題にまで発展してしまった。