暴走族とは、日本における公道上で自動車やオートバイに乗り、違法な運転や騒音を伴って走る集団である。1950-1960年代ごろから、富裕層を中心に当時まだ高価だったオートバイを集団で乗り回す若者が登場、マフラーを外してけたたましい爆音を響かせながら走り回る様から「カミナリ族」という呼称が生まれた。交通を妨げて疾走する事から交通事故が懸念されたものの、時代は高度成長期であったため、社会が大きく変容することのストレスを受けたモラトリアムの範疇として、マスメディアや文化人を中心にある程度容認される傾向も見られた。
しかし1970年代になると、オートバイは低価格化とともに広く一般へも普及し、とりわけ不良少年に浸透していくと暴行・恐喝事件を起こす傾向が強くなり、一般市民への暴力事件やグループ同士の抗争事件が社会問題として取り上げられるようになった。
1980年前後に暴走族は最盛期を迎えた。彼らは、パンチパーマに剃り込みを入れた髪型に、特攻服に刺繍などで飾り付けをしたものを着て、自分たちのことを「ツッパリ」という語で呼ぶようになり、徒党を組んで集会などを行った。ツッパリファッションを身にまとった「リーゼントロック」音楽バンドが、当時の管理教育に反発する少年層の間で大流行し、ツッパリファッションを子猫に着せた「なめ猫グッズ」が発売されたのもこの時期である。
1990年代以降では少年向けファッション誌などの登場に代表されるファッション性重視の少年層増加に伴い、旧来の特攻服をまとったスタイルに垢抜けない「時代遅れ」的なイメージを持つ傾向が強まり、暴走族文化は若者の間で次第に廃れていった。