今回の胡錦涛国家主席の訪日の意義やそれに寄せる期待をめぐり、両国の関係者に話を伺いました。
■東京証券取引所・西室泰三会長
中国の国家主席として、長い間、日本へのご訪問がなかったので、これで、新しい中日間の繁栄のための基礎が築かれるのではないかと、たいへん期待しています。今の日本政権はこの前の政権と違って、日本の国民全体を代表して、中国と仲良くやっていこうということを考えているし、また、それを中国側も受け入れているのです。それを具体化できるということは、日本の国民にとっても、とても嬉しいことです。
■慶応義塾大学・国分良成教授
とても大事だと思います。日中関係はこれまで何年間にもわたって、苦しい関係が続いていましたから、安部前首相と福田首相の訪中及び温家宝首相の来日で、もうすべて整っているから、このまさに締めくくりとして、今度、胡錦涛主席が日本に来られることは、本当に大事な機会です。日中関係は、当然、これから寒い時代がまた来る可能性がありますが、こういうためにも、今、基礎をきちんと作っておき、長期的な関係に向けて様々な仕組みを作っておく必要があります。今回は、そのためのきっかけになるとても大事な機会だと思います。今度の胡錦涛国家主席の訪日を通じて、長期的な日中関係の安定化を考える機会にしていただきたいですね。
■国際交流基金北京事務所藤田安彦所長
やっぱり日中間で色んな問題がありますけど、トップダウンはまだまだ効果がありますよね。国民は交流の場での話し合いの結果を知りたいし、注目していますよね。日中間でどうなっているのか、訪問した後のプレス発表を含めて、とても大事なメッセージが含まれていると思います。
中国はこれだけ経済が発展しています。それにともなって、様々な問題も起きていますが、実は日本も環境問題を含めて、結構な経験があるわけです。日本はとてもそういう経験を生かしたいと期待していますが、それは中国も期待していると思います。今回の訪日の中で、ぜひ日本も協力して一緒にやりましょうよ、と。中国も一緒にやろうよ、ということですけど、大事なのは、「日本も経験があるので、どうぞ使いませんか」というのではなく、中国における問題、たとえば、黄砂は今世界的な問題になっていますが、これらの問題に対して、一緒に日中間で協力して研究していくことだと思います。日本にも中国にも、両方の問題を一緒になって協力して研究することです。たとえば、砂漠化の問題にしても、日本では経験のないことです。どのぐらい木を植えて、それは効果はどうなのか、よく知りません。
環境の問題だって、湖が太湖を含めて、各地で色んな湖が汚れていますが、こんな汚れた湖をどうやって回復するのか、日本の大きい湖は琵琶湖しかありません。ここでは、大きな湖があって、それを双方の学者が一緒になって研究し、過去に日本になかった対策を考える。それを一緒にやることによって、たくさん解決できると思います。