家屋の構造が別に一派をなしたため、世界遺産に指定されたのです。家屋は2本の部材を山形に組み合わせてつくるサス構造で、屋根が両手を合わせたような形になっていることから「合掌造り」と名付けられています。豪雪に耐えられるように屋根は60~65度の急勾配で、ほぼ正三角形の特異な形をしています。屋根の上には厚さ40センチぐらいの茅が敷かれ、冬は寒く、夏は暑い盆地にある白川郷の昔の住民が無事に暮らせる居所でした。
「合掌造り」集落のすばらしい構造を最初に発見したのはドイツ人だそうです。この方が彼の著書「日本美の再発見」の中で白川郷を紹介したことで、合掌造りの建物が世界の注目を集めるようになり、日本はここの保護に取り掛かり、すべての住民が一時転出したということです。
車が狭い道に沿って白川郷に入りますと、流れがそれほど急ではない白い河川が目の前に現れました。もっと奥へ進みますと、童話の世界に入ったように、俗世間を離れた別天地に身を置いているみたいでした。この日は昼食が終わるまでは雨雲が低く垂れ、小雨が時々降っていましたが、遊覧が始まった後には、雨も物分かりのよい子どものように止んでくれました。「合掌」形の屋根を特徴とする家屋は、いろんな植物や花、草に引き立てら
れているうえ、雨に降られて、重々しい歴史的な感じがもっと際立つようになりました。ゴールデンウィークに当たる5月5日でしたが、大勢の観光客も見られず、店の売り子から呼び売りの大声も聞こえず、静かでした。
同行の人々の話では、中国雲南省の麗江という景勝区が白川郷によく似ているそうですが、道の中央に立って物を売りつけたり、大きな声で呼び売りをしたりする人が多くて、観光客が興ざめする一方、眺めにも妨げになるとのことです。これは多分中国の観光地に共通する欠点でしょう。歴史的文化的遺跡の保護・開発・利用では、日本に学ぶべきところがあると思っています。
「北京週報日本語版」より2008年5月17日