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徐徳明:工会が労働者の利益を擁護し、企業発展を促した
発信時間: 2009-09-03 | チャイナネット

◆工会は転換が難しい

全国人民代表大会(全人代)常務委員会は04年、「工会(労働組合)法」の執行について大規模な検査を組織した。そして最終的に、現在の工会は、第1に設立の難しさ、第2に権限維持の難しさ、第3に経費納付の難しさ、という3つの大きな難題に直面していると指摘する報告書をまとめた。この2年近くの間、「外資系企業が工会を設立」や「出稼ぎ農民が工会を設立」といったニュースが頻繁に見られるようになったことで、「工会」という単語が再び注目され始めた。徐徳明氏は中華全国総工会副主席を務めた。こうした状況について「この変化の背後にあるのは、中国の工会が経験してきた転換の難しさだ」と指摘する。

全国総工会は04年、「組織して、権限を着実に維持しよう」との方針を決めた。「組織しよう」というのは、末端層での工会の整備を強化し、工会を設立することだ。職員・労働者を工会に組織してこそ、権限の維持といった仕事を展開することができる。

当時、外資系企業の工会設立率はわずか23.1%。多くの外資は設立に積極的でなく、まったく興味を示さない企業も。「ウォルマートのような著名な企業はいずれも設立せず、どうしたら設立させられるのか」。よくこうした言葉を耳にした。同社は長年にわたり世界に工会を設立したことはない。「閉店することになっても設立しない」と言い張る。彼らに設立させるのは、非常に難しいことだった。

徐氏が初めてウォルマートと接触したのは、06年2月28日。総工会の2人の職員と広東省工会副主席、深セン工会主席を伴い、ウォルマート中国(深セン)本部を訪問し、総裁と会談した。相手側に中国の工会と西側の工会には本質的な違いがあり、中国の工会は従業員の権益を保護し、企業の発展を促していることを理解させることが目的だった。双方はカギとなる問題、例えば、工会の主席はどう選出するか、どんな人物が担うか、労働者が兼職した場合の待遇は、交渉で意見の食い違いが生じた場合はどう仲裁するのか、などについて突っ込んで話し合った。会談は打ち解けた雰囲気の中、4時間に及んだ。

ウォルマート泉周晋江店に7月29日、工会が正式に設立。これは一種の歴史的な出来事であり、世界の工会運動史に重要な影響を及ぼすことになった。その後、ウォルマートは全国でまさに破竹の勢い。2カ月もたたないうちに69店すべてに工会を設立した。

これは外資企業の工会設立を大きく促した。コダックやデル、富士康など著名な外資に相次いで工会が誕生。現在、設立は非常に順調に進んでおり、外資の工会組織率は73.2%に達した。

◆出稼ぎ農民の権利維持へ新メカニズム模索

胡錦涛総書記は06年1月1日、「出稼ぎ農民の合法的利益を維持する問題は日増しに際立っており、工会組織はその職責を担い、広範な出稼ぎ農民を工会組織の周りに団結させ、総工会は真しに調査・研究し、経験を総括し、措置を検討して必ず成果を上げなければならない」との通達を出した。

徐氏は言う。「その後、私たちは出稼ぎ農民の工会設立のために尽力しました」

「私たちは一連の有力な措置を講じ、最も幅広く、最大限度、出稼ぎ農民を工会に組織させることにし、農民が地元で入会する体制を構築しました。生活していた地区、郷鎮、村クラスの工会、出稼ぎに出た土地の労務市場、労務公司の工会など、農民がよその土地で就職する場合、また就職する前に農民を工会に吸収するというものです。同時に、工会という組織形態と入会方法を、各地の状況にふさわしいもの改めました。街の工会、ビルの工会、団地の工会といったように、多様な工会を設立することで農民が入会しやすいようにしたのです」

また、もともと入会手続きは複雑だった。用紙に記入し、よその地で出稼ぎするには、身上調書を移さなければならない。現在、手続きはずっと簡素化された。1度入会すれば、証明書があれば工会を変えることができ、別の土地での就職も便利になった。現在、会員は全国で6千万人と、出稼ぎ農民全体の50%を占める。

出稼ぎ農民の合法的権益を擁護しようと、中国の工会は多くの新たな方法と施策を模索。10の分野で比較的完備した権限擁護のためのメカニズムをまとめた。

例を挙げれば、農民がよその土地で就業の権益が侵害された場合にすぐに支援が受けられない、といった問題を解決するために、工会は双方向権利擁護メカニズムというものを構築した。農民の出身地と就業地の工会が連携して、共に彼らの権益を擁護する職責を担うというものだ。出身地の工会は農民の動向を把握し、情報がスムーズに伝わる方法を確立して、適時に就職地の工会と協力し、農民が直面する権益侵害の問題を解決するようにしている。農家に何か難しい問題、将来への不安があれば、主体的に相談に乗って解決し、安心させる。出稼ぎに出た土地の工会は重要な責任を負っている。電話があれば、報告があれば、省間の連携システムはすぐに起動することから、権益擁護のためのコストは大幅に減り、時間も延び、効率も高まることになる。

現在、工会は主として出稼ぎ農民の賃金未払い問題の支援に当たっている。また、労働契約率の低さやそれに伴う不正の解決、そのほかにも生活苦にある農民を支援している。

全国総工会は労働契約法や就業促進法、社会保険法、労働争議処理法の立法作業に参与してきた。これは幅広い出稼ぎ農民が求める利益を反映させるものである。

「チャイナネット」 2009年9月

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