ホーム>>政治>>国内ニュース |
馮驥才:ヒューマニズム精神のルネサンスが何より重要 |
発信時間: 2009-09-03 | チャイナネット |
|
著名な作家、文学者、芸術家、民間芸術の救済に取り組む馮驥才氏。現在、中国民主促進会中央副主席、全国政治協商会議(政協)常務委員会委員などを務める。この数年、中国民間文化遺産の保護・救済事業に従事しており、国内はむろん在外中国人社会にも大きな影響を及ぼした。 ◆民族文化には精神的な支えが必要である 中国文化について、馮氏はこう語る。「文化で最も重要な価値をなすのはその多様性であり、中華文化最大の特徴は燦爛たる文化を創造したことです。中国の歴史は悠久であり、民族も多く、文化も多元的です。地域的な角度から言えば、春秋戦国時代に形成された文化、例えば、楚文化、斉魯文化、燕趙文化、呉越文化は今でも新鮮で生き生きとしています。こうした文化はそれぞれに特徴があります。また、わが国には56の民族がいますが、どの民族も自らの異なる生活形態、異なる風情や習俗を持っています。中国がすでに評価し終えた無形文化財は約1200種に上り、私たちはこれほど多くの燦爛と輝く文化を持ちながら、その多くが近代化の過程で失われてしまいました。消失の形は2つあります。1つは継承者がいなくなったことで、文化が死に、非物質的な文化が物質的なものに変化したことです。いま1つは、物質的な遺物さえもなくなったことです。ですから措置を講じなければなりません」 馮氏は、文化遺産は一種の媒体であり、そこには民族の精神と伝統が含まれている、と話す。伝統は実は古いもの、過去のものではなく、1つの民族の精神の本来の色、本質であり、道徳と規範、審美感と習慣、究極の追求である。それは1つの民族の独特性の中心、1つの民族の精神の遺伝子でもある。文化の媒体が失われれば、精神も頼るべきものが失われてしまう。例えば春節には、吉祥、豊かさ、団欒、喜びといった幾つかのテーマがあり、もし春節を過ごさなくなれば、民族の団欒への追求、家庭という考え方、人間への親しさ、吉祥な生活と理想主義への願望も徐々に失われていく。こうしたものがなくなれば、その民族の精神形態もなくなってしまう。 馮氏は04年から、提案した方法で「中国文化遺産の日」の設定を呼びかけ始めた。「文化遺産の日を設定するには、全国民が自らの文化に対する情感を培う必要があります。文化遺産の日はフランスで始まり、これまでに20数カ国で設定されています。わが国では06年から毎年、6月の第2土曜に設定されました」 ◆ピラミッド形の文化戦略体系を構築した 「大学の精神とヒューマニズム教育」と題する国際学術シンポジウムが07年、天津で開かれ、フランスや米国、ドイツ、ロシアなどの大学12校、国内の大学10校から計30人の学者が参加。会議を組織した馮氏は「当代の大学生のヒューマニズム精神の欠如が明日の社会のネックになるのは間違いない」と指摘した。 「中国は文化大革命を経験した後、改革開放に進みました。文革が終結した時、中華文化の中で崇められるものは幾つも残されていませんでした。こうした中身のない枠組みが市場経済に放り投げ出され、それが1波、1波とビジネス文化の打撃を受けながら、一気に激しい勢いでぶつかったことで、偽物や劣悪なもの、おごり、そして自己中心的な考え方が現れ始めたのです」 馮氏は政協に対し「ピラミッド」形の文化戦略体系の採用を考慮し、1つの民族の文化はピラミッドのように、切っ先、そして中部と底部がなければならないと指摘。どんな場所であれ、切っ先が最も重要であり、民族の文化的な時代の高さを示すことができれば、それは文芸界の大家、学術界の重鎮、名作となるだろう。環境を創造し、著名な人士や軍を指導する人物を養成する必要がある。そのためには、政府は文化と伝統を尊重するという気風を大々的に醸成しなければならない。その一方で、評論界の役割を発揮させなければならない。文芸評論の役割を発揮させ、市場経済の下で、芸術も同じように魅力的なものにするには、バランスの制御、つまり文芸批評が必要となる。ロシアは歴史上、多くの作家を輩出したが、それは当時の偉大な批評家(ベリンスキーやチェルヌイシェフスキーなど)と非常に大きな関係がある。西側もそうであり、およそ文化が繁栄した時期にはいずれも非常に優れた批評家がいた。馮氏は「文化の規律に基づいて文化を導いていく必要がある」と指摘する。
「チャイナネット」 2009年9月 |
· 現代日本文学が中国語になるとき──大江健三郎・村上春樹・渡辺淳一のばあい
|