香港特区の曽蔭権行政長官は27日、香港の一部政党が始めたいわゆる「住民投票運動」について初の声明を発表し、「いわゆる『住民投票』は香港基本法の規定に合致せず、法的根拠も法的効力もない。特区政府はこれを認めない」と強調した。香港メディアが伝えた。
香港社会の主流世論も、住民投票運動を進める議員のやり方に対しては立場を保留気味だ。これを補選手続きの濫用、公費の浪費と捉え、瀬戸際で踏みとどまることを求め、それでもなお突き進む場合は、多くの市民を失望させることになると指摘する声も少なくない。
26日午後には、立法会議員5人が辞任届を提出した。曽長官は同日夕方に直ちに声明を発表。この2つの政党が補選を利用していわゆる「5区住民投票運動」を推し進めていることに深い遺憾の意を表し、「立法会議員は忠実に職責を尽くし、議会を通じて憲法上の責任を履行すべきだ。軽率に辞任すべきではない。香港市民も無意味に過激な挑発的文言を目にすることは望んでおらず、分裂がもたらされ、社会対立が激化することを懸念している」と強調した。
曽長官は「特区政府は現在、2012年の政治改革案について諮問を進めている。不必要な辞任は、政治制度の発展についての社会の合意形成の助けとならない」と指摘。「特区政府は、いわゆる『住民投票』は認めない。だが担当当局には、法に基づいて事を進め、選挙条例に従って補選を行う責任がある。補選の具体的手配について、近く立法会に説明する」と強調した。
林瑞麟・政制内地事務局長も「5人の議員の決断によって、補選を行うため1億5000万香港ドルの公費が必要になった。つまり議員1人の決断あたり3000万香港ドルだ。これについて納税者の間には意見があるに違いない」と述べ、辞任に遺憾の意を表明。「特区政府は法に基づいて事を進め、補選を手配することで、市民が彼らのために働く十分な代表を立法会に確保できるようにする」と強調した。
「人民網日本語版」2010年1月28日 |