成熟し安定した中国は欧州の利益に合致する。われわれが各分野で中国との戦略的パートナーシップを強化しなければならない理由はここにある。その対象には政治、文化、経済、民間社会が含まれる。相互尊重と「小異を残し大同を求める」を基礎にしなければ、信頼の絆を築くことはできない。これを達成する上で特に重要なのは以下の点だ。(第61回フランクフルト国際ブックフェア「中外経済学者フォーラム」でのシュレーダー前ドイツ首相のスピーチ)
第1に、経済面で両国の相互作用を強化すること。2国間貿易の急速な拡大を踏まえ、合弁企業の数を増やさなければならない。開放と投資は経済を前向きに発展させる要因だ。開放と投資がなければ、前進のしようがない。したがって欧州は中国による欧州経済への投資に対して防御措置を講じるべきではない。欧州経済は外国からの投資だけでなく、外国の知識や技術にも依存しているからだ。
第2に、経済の活発化は中国において環境問題の悪化も招いた。特に深刻なのが大気や水の汚染だ。中国政府はすでにこの点を認識しており、環境保護や国家の持続可能な発展への重視を次第に強めている。この分野で欧州は中国の重要な協力パートナーとなることができる。このほかに中国はエネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの開発においても助力を必要としており、欧州諸国とドイツ企業は技術やサービスを提供することができる。われわれが手を携えない限り、気候変動対策の国際目標の達成は望めない。
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