「BRICs」とは、米ゴールドマン・サックス社の首席エコノミスト、ジム・オニール氏が2001年に初めて打ち出した概念だ。オニール氏は03年の研究報告「Dreaming with BRICs」において、2050年までに世界経済の構造に再編が生じ、BRICsが英国、フランス、イタリア、ドイツを含む西側先進国を追い越して、米国や日本と共に新たなG6を構成すると予測した。この報告が発表されると、中国、インド、ロシア、ブラジルが新興市場国のトップ・ランナーとして世界から幅広く注目され、「BRICs」の概念が全世界を席巻するようになった。
BRICsはいずれも新興市場国であり、多くの国際・地域問題において近い見解を持っている。近年BRICsは対話や協力を強化し続け、国際経済・開発分野の重大な問題において経常的に意見を交換している。
08年7月の日本の洞爺湖サミットではBRICs首脳も一連の会議に参加し、会談を行った。同年9月には、ロシアのエカテリンブルクでBRICs外相会議を開き、ミレニアム開発目標、南南協力、気候変動、エネルギー・食糧安全保障などの問題について話し合った。同年11月には、ブラジルのサンパウロでBRICs財務相会議を開き、世界経済の新たな変化が正しく反映されるように国際金融システムを改革することを呼びかけた。
09年6月16日には、ロシアのエカテリンブルクでBRICs初の公式首脳会議を開き、共同声明を発表した。世界的な注目を集めたこの首脳会議によって、BRICsは初めて1つのまとまりとして国際舞台に公式に登場した。国際世論は、BRICsの今後の協力に大きな可能性を認めている。
BRICsに代表される新興の大国は国際社会での動きを日増しに活発化させている。西側の一部の国際関係の専門家による予言と異なり、新興の大国は決して「秩序の転覆者」としては出現せず、平和と発展という時代のテーマを捉え、話し合いと協力によって現行の国際システムの問題を解決し、世界共通の試練に対処しようとしている。新興の大国は世界の共同発展を促す重要なパワーとなっているのだ。
05年にゴールドマン・サックスは、エジプト、韓国、メキシコ、ナイジェリアなど11カ国を「ネクスト11」と命名した。07年に日本の門倉貴史氏はベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンからなる「VISTA」という概念を打ち出した。世界経済に占める新興の大国の地位は高まり続けている。世界経済は世界金融危機によって痛手を負った。新興の大国は現在、その発展によって世界経済を安定させる役割を発揮しており、「ポスト危機時代」において世界経済の成長を牽引すると見られている。
「人民網日本語版」2010年4月13日