ノルウェーのストルテンベルグ首相とロシアのメドベージェフ大統領は27日にオスロで行った共同記者会見で、バレンツ海の境界画定問題について、17万5000平方キロの係争海域をほぼ2等分し、西側をノルウェー領、東側をロシア領とすることで合意したと発表した。40年の長きにわたった両国間の交渉は、ついに円満な解決を迎えた。
地球温暖化にともない北極海の氷が次第に消失していることで、周辺の海底ガス田などの開発は以前より容易になった。夏季の通航も、近い将来可能になると見られる。
ロシアとノルウェーの推計では、北極地方の原油埋蔵量は約2500億バレル、天然ガス埋蔵量は80兆立方メートルに上る。米国の専門家は北極地方の原油埋蔵量を1000億潤オ2000億バレルと見積もっている。
ロシア、ノルウェー、米国、デンマーク、カナダといった北極海沿岸の国々は近年、北極海を含む北極地方で動きを活発化させ、さまざまな形で激しい争奪戦を演じている。バレンツ海でのノルウェーとロシアの長年の係争も、こうした争奪戦の典型的な実例の1つに過ぎない。
ロシアにとってバレンツ海は北方艦隊の潜水艦が大西洋に出入りするための重要な通路であり、その重要性は言をまたない。ノルウェーは人口わずか数百万人だが、その背後にはその加盟するNATOが控えている。両国が今後も互いに譲歩しなかった場合、北極海は地域衝突を引き起こす火薬庫となるおそれがある。
ノルウェーとロシアがバレンツ海の境界画定で合意し、北極海という潜在的な火薬庫から信管を除去したことは、両国関係の深化・発展のみならず、北極地方情勢の安定にも寄与するだろう。
「人民網日本語版」2010年4月29日