米政府は現地時間27日、オバマ政権で初めてとなる米国家安全保障戦略報告を発表した。52ページからなる同報告の中に見られた重要な変化として、ブッシュ政権の単独主義から、国際社会と協力・対話を重視する姿勢へと転換していることが挙げられる。メディアの分析によると、アフガン戦争とイラク戦争が継続してはいるものの、同報告書には、多国間外交が軍事力よりも重要とするオバマ大統領の認識が明示されているという。中国新聞網が伝えた。
▽ブッシュ政権の「先制攻撃」戦略から転換
「先制攻撃」も辞さないとするブッシュ政権の戦略と比べると、オバマ政権は国際問題を今後処理する際、多国間外交を優先すると同時に国際組織と協力し、軍事力は外交努力が及ばない場合の最終手段とすることを強調している。
オバマ政権は「対テロ戦争」というブッシュ政権の「解釈」を放棄した。
▽中国・インドなど新興国に協力を呼びかけ
同報告によると、これまでの同盟国だけでなく、中国、インドなど台頭しつつある新興国も米国の協力パートナーに加えるよう、オバマ大統領は呼びかけている。米国は今後、共に関心のある問題について中国と協力していくという。
ただ、米国の地域的、国際的利益や同盟国の利益を保障するとの方針も示している。
また、朝鮮やイランなど米国への脅威に対して警戒を高める一方、協議を進めるとの意向も示している。
▽本土でのテロ対策を強調
報告は、テロ対策は今後も継続するが、これは特定の手段や信仰に対する戦争ではなく、国際テロ組織アルカイダとその一派との戦争であるとしている。
このほか、米国国内でこのほど、テロ行為が相次いでいることについて、報告は国内の過激主義者を脅威とする立場を初めて明確にしており、情報機関やコミュニティーとの連携を通じて防止につとめるという。
報告は、核拡散、宇宙、インターネットに関する脅威が米国にとって最大の安全保障リスクだとしている。
「人民網日本語版」2010年5月28日