米軍の重要なシンクタンクであるランド研究所はこのほど、「工業時代の戦略戦争は核戦争だったが、情報時代の戦略戦争は主にインターネットを通じたサイバー戦争だ」と指摘した。
サイバー戦争とは、情報化を背景とした、コンピュータおよびインターネットを基本ツールとし、ネットを通じたサイバー攻撃・防御が手段となる、全く新しい戦争行為だ。
▽英国
2001年、数百名のコンピュータ・エキスパートからなる諜報部所属の「ハッカー」部隊が秘密裏に結成された。2009年6月25日、初の国家インターネット安全戦略が打ち出され、サイバーセキュリティ局(OCS:Office of Cyber Security)、サイバー・セキュリティ操作センター (Cyber Security Operations Centre) という2つのサイバー・セキュリティ新部門の設立が宣言された。2部門はそれぞれ、政府各部門のネットワーク・セキュリティ業務および、政府・民間機構の重要なコンピュータシステムのセキュリティ保護業務を担当している。
▽ロシア
1990年代にネットワーク情報セキュリティを担当する情報安全委員会が設立されたほか、2002年には「ロシア連邦情報セキュリティ学説(Doctrine of information security of the Russian.Federation)」が打ち出され、ネットワークを通じた情報戦が第6世代戦争と位置づけられた。
ロシアはすでに多くのネットワーク・エキスパートを有し、アンチウイルス技術では世界トップを走っている。ひとたび脅威・需要が発生すれば、これらの人材と技術はすぐに軍用に転換されるだろう。
▽インド
インドはインターネット技術への精通と、インターネットのもたらす戦争効果の認識を基礎とし、自主開発・軍民協力という原則を貫きつつ、大量の人的・物質的資源を投入し、インターネット技術、パスワード技術、チップ技術および操作システム面において、独自の体系を形作ってきた。
高速ブロードバンドおよび「第3の目」と呼ばれる海軍機密データ伝送ネットワークの完成により、インド軍は将来のサイバー戦争におけるメリットをさらに高めた。インド軍は、完備された防御システムのほか、サイバー攻撃を作戦に組み込み、敵国の指揮とコントロールシステム、武器システムを麻痺させるようなネットワークシステムを打ち立てることを明確に指摘、陸軍本部・各軍エリアおよび、重要軍事部門はそれぞれサイバー・セキュリティ機構を設立した。
また一方では、民間のエキスパートを雇い、軍事学校の生徒にハッカー技術を教えるなど、将来のサイバー戦に備えて人材を徐々に育成している。