日本の菅直人首相が先日、朝鮮半島への過去の植民地支配についておわびの意を伝えると、日韓双方で「新たな出発点に立った未来志向の日韓関係の構築」について議論が行われた。菅首相が朝鮮半島が日本の植民地と化した「日韓併合条約」調印100年を前に談話を発表したことには、歴史問題を過去のものとし、日韓関係の一層の接近を促したいとの意図があったことは明らかだ。
日韓関係は複雑で、協力と摩擦に満ちているが、双方にとって非常に重要なものだと言える。歴史と現実、利益と感情、2国間と多国間など多重的要因の下、日韓関係は長年常に変動と起伏の中、ゆっくりと発展してきた。
韓国にとって、日本との関係をどう構築するかは、外交空間の開拓、総合国力の発展、対朝関係の処理のいずれにも重要な影響を与える。冷戦後、韓国政府は対日政策を積極的に調整し、新たな情勢下での韓日関係の構築に努めてきた。韓国と日本は互いに重要な貿易相手国だ。韓国は日本から多くの資本を導入し、商品を輸入している。対日経済協力の強化を通じて自国の経済振興を図ることは、韓国が対日外交を推進する上での主たる出発点となっている。総体的に見て、韓国の対日外交政策は日増しに実務化しており、現実的利益に立って対日関係を発展させようとしている。
日本にとっても韓国との経済関係の強化は重要な課題の1つだが、「政治大国」実現の角度から両国関係を検討することの戦略的意義の方が大きい。1980年代に「政治大国」のスローガンを打ち出して以来、経済大国・日本はその経済力に見合った政治的役割を国際社会で発揮できていないと考えてきたが、その原因のかなりの部分は「東アジア隣国との歴史的和解を実現できておらず」、後者から理解や支持を得られないことにあった。韓国は日本の隣国で、経済発展水準、政治体制、価値観、文化などの面で日本と比較的近いうえ、共に米国の「同盟国」でもあることから、日本はかねてから対韓関係を重視してきた。このほか日本は朝鮮の核開発を重大な脅威と見なし、韓国と同様に朝鮮半島の非核化問題を重視しているため、日韓共通の安全保障上の利益が両国関係を近づける重要な要因となっている。
近年日本は軍事力を増強し、日米同盟を強化すると同時に、米国を仲介に米日韓安全保障体制を構築しようと企み、日韓関係を「同盟国に近い」水準へ高めることを望んでいる。米国も北東アジア地域で覇権秩序を確立する戦略的意図から、日韓の安全保障・軍事交流を故意に後押ししている。
日韓は政治関係を修復し、経済協力を加速し、文化交流も緊密化しているが、日韓関係の基盤は依然脆弱だ。特に根深い領土・歴史問題は依然として両国間の対立を度々激化させる導火線であり、外交論争の焦点だ。このような根深い問題が菅首相の談話1つで完全に解決されることはあり得ず、両国が「歴史問題」を乗り越え、「新たな出発点」に立って「成熟した関係」を築くことが依然容易でないことは確かだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2010年8月24日