在フィリピン中国大使館の孫毅報道官は30日、中国紙「新京報」の取材に応じ、香港からの観光客に死傷者の出たマニラ観光バス乗っ取り事件について「中国側は事件を処理する過程において、フィリピン副大統領が調査結果を伝えるために北京を訪れることを拒絶したことはない。訪中の遅れは、最終的な調査結果がまだ出ていないことによるものだ」と述べた。また「これは個別の事件だ。フィリピン側が犠牲者と当事者に公正な回答を示すことを希望する」と表明した。
■「大使館はフィリピン側にタイムテーブルを設けてはいない」
記者:フィリピンのビナイ副大統領は元々8月26日に代表団を率いて北京と香港へ向い、事件について説明する予定だったが、中国側が拒絶したとの報道がある。
孫報道官:ビナイ副大統領が調査結果を伝えるために北京を訪問する件について、在フィリピン中国大使館はフィリピン側と緊密な連絡を取り続けている。外交部の姜瑜副報道局長も、中国・フィリピン双方が緊密な連絡をとり続けていることに言及した。中国側の立場は明確だ。吃緊の課題は、フィリピン側が全面的・正確・客観的な調査報告を早急に中国側に提供することだ。われわれがフィリピン副大統領の訪中を拒絶したことはない。訪中の遅れは、主に最終的な調査結果がまだ出ていないことによるものだ。
記者:フィリピンメディアは、大統領はフィリピン側調査チームに3週間以内に調査報告を提出するよう指示したと報じている。この期限は大使館との意思疎通後に設けられたものか?
孫報道官:3週間という期限はフィリピン側の設けた期限だ。調査の複雑さを考慮し、大使館はフィリピン側にタイムテーブルを設けてはいない。事実が明らかになり次第、速やかに提出することのみを希望している。現在大使館にとって最も重要な作業は、フィリピン側とタイムリーにコミュニケーションを取り、できるだけ早く調査報告を手にすることだ。
記者:人質事件による今後の両国の外交関係への影響はあるか?
孫報道官:人質事件は個別の事件に過ぎず、政治化してはならない。両国間には悠久の歴史があり、両国民間には深く厚い友情がある。人質事件によって両国民間の感情に影響が生じることは望んでいない。この点は、両国政府ともによくわきまえている。両国の外交関係への影響はないと思う。中国・フィリピン双方共に、今回の事件の両国への影響を最小限にし、できるだけ早く過去のものとすることを望んでいる。
「人民網日本語版」2010年8月31日