これらのこともあり、米国は2009年から2010年上半期の危機の間、「人民元切り上げ問題」ではなく、ドルの安定化とユーロ反撃を先決課題としてきたのである。
第三に、米国の経済覇権における長期的戦略標的は中国である。中国の経済建設を中心とする総合的国力の継続的急成長やその中国独特の経済発展路線を、米国は自国にとっての長期的挑戦であり、最終的脅威であるととらえ始めたのである。
米国のロジックはこうだ。日増しに成長する経済力は、必ず中国の軍事力量を強大化させる。中国はその強大な経済力と軍事力を拠り所に、強硬的外交政策を採るようになり、重要な国際問題においてもだんだんと米国の言うことを聞かなくなってしまう。
上記3つを比較してみると、ロシアの軍事的挑発は経済力による物質的基礎に欠け、EUの金融面での挑戦も、本当の意味での統一かつ独立した国家集団意識と行動力に乏しい。長期的に見れば、米国の総合国力への最終挑戦者としては、中国が最もその可能性を持つと言える。アメリカは、その総合国力第一位の地位に取って代わるものが例え世界平和であったとしても、やはりその地位を死守するだろう。これは、すでに米国の共和、民主両党の共通認識となっている。
もちろん、中米対抗における米国の最終手段は戦争ではなく、中国に主従的協力関係型の「G2」方案を受け入れさせ、米国の世界統治に協力させること、或いは、中国国内でその力を消耗させ、米国の経済力や総合的国力レベルには及ばないようにさせることである。中米対抗の結末は、中国がどれほどの意志と知恵を持ち、自分の選んだ道を突き進み続けられるかにかかっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月21日